大腿骨近位部骨折患者の術前心機能評価の問題点

【背景】大腿骨近位部骨折患者は術前に心機能評価を必要とする症例が少なくない.循環器内科医師と連携して術前心機能評価プロトコールを作成した.【対象と方法】2017年4月から12月に当院で手術適応と判断した連続する大腿骨近位部骨折患者100例を対象とし,実際の循環器受診とフローチャートを使用した時と乖離した症例数と要因,周術期の循環器合併症,術前心エコー検査の有無,術式の侵襲度に関して後ろ向きに評価,検討を行った.【結果と考察】周術期に重篤な心血管イベントを生じた症例はなかった.フローチャートで循環器受診が必要とされた症例は57例あり,実際に循環器を受診した34例を大きく上回った.脳梗塞の既往など...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in整形外科と災害外科 Vol. 69; no. 2; pp. 388 - 392
Main Authors 大角, 崇史, 中村, 哲郎, 土屋, 邦喜, 宮田, 健二, 折口, 秀樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 25.03.2020
Subjects
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:【背景】大腿骨近位部骨折患者は術前に心機能評価を必要とする症例が少なくない.循環器内科医師と連携して術前心機能評価プロトコールを作成した.【対象と方法】2017年4月から12月に当院で手術適応と判断した連続する大腿骨近位部骨折患者100例を対象とし,実際の循環器受診とフローチャートを使用した時と乖離した症例数と要因,周術期の循環器合併症,術前心エコー検査の有無,術式の侵襲度に関して後ろ向きに評価,検討を行った.【結果と考察】周術期に重篤な心血管イベントを生じた症例はなかった.フローチャートで循環器受診が必要とされた症例は57例あり,実際に循環器を受診した34例を大きく上回った.脳梗塞の既往などの心血管リスク評価漏れが原因であった.フローチャートで循環器受診が不要と判断された症例の中で,実際に循環器を受診した症例は3例で,いずれも血栓症症例であった.【結語】フローチャートの前向きな調査が必要であろう.
ISSN:0037-1033
1349-4333
DOI:10.5035/nishiseisai.69.388