慢性呼吸不全患者における胸郭拡張差が肺機能および呼吸困難感に及ぼす影響

慢性呼吸不全患者の胸郭拡張差の特徴を明らかにするために,男性の慢性閉塞性肺疾患患者22名(COPD群),健常男性40名(健常群)について,体格,肺機能および胸郭拡張差を測定した。胸郭拡張差は腋窩部,剣状突起部,第10肋骨部の3部位で測定した。その結果,胸郭拡張差はCOPD群で全ての部位で低下していた。肺活量との相関はCOPD群では第10肋骨部が,健常群では剣状突起部が最も強かった。また,Hugh-Jonesの息切れ分類との関連も第10肋骨部で高い負の相関を認めた。COPDの病態より肺の過膨脹,横隔膜の平低化,呼吸筋の短縮などにより胸郭拡張差は低下しているものと考えられた。中でも第10肋骨部は,...

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Published in理学療法学 Vol. 25; no. 6; pp. 376 - 380
Main Authors 田平, 一行, 神津, 玲, 中村, 美加栄, 千住, 秀明, 真鍋, 靖博, 柳瀬, 賢次, 関川, 則子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本理学療法士学会 30.09.1998
日本理学療法士協会
Subjects
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ISSN0289-3770
2189-602X
DOI10.15063/rigaku.KJ00003130791

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Summary:慢性呼吸不全患者の胸郭拡張差の特徴を明らかにするために,男性の慢性閉塞性肺疾患患者22名(COPD群),健常男性40名(健常群)について,体格,肺機能および胸郭拡張差を測定した。胸郭拡張差は腋窩部,剣状突起部,第10肋骨部の3部位で測定した。その結果,胸郭拡張差はCOPD群で全ての部位で低下していた。肺活量との相関はCOPD群では第10肋骨部が,健常群では剣状突起部が最も強かった。また,Hugh-Jonesの息切れ分類との関連も第10肋骨部で高い負の相関を認めた。COPDの病態より肺の過膨脹,横隔膜の平低化,呼吸筋の短縮などにより胸郭拡張差は低下しているものと考えられた。中でも第10肋骨部は,換気力学上横隔膜の機能と関連が強いため,肺活量や呼吸困難感とも高い相関を示したものと推察された。
ISSN:0289-3770
2189-602X
DOI:10.15063/rigaku.KJ00003130791