心室細動で発症し, たこつぼ心筋障害類似の左室壁運動異常をきたした心臓サルコイドーシスの1例

62歳男性, 卒倒し意識がないため救急要請となった. 救急隊到着時, 心肺停止状態でありモニター波形は心室細動であった. 心肺蘇生を継続しながら当院搬送された. 当院搬送時のモニター波形は心静止であり心肺蘇生を継続し, 病着25分後に心拍再開した. 心拍再開後の心電図ではⅡ, Ⅲ, aVF誘導でST上昇, 胸部誘導では広範にST低下認めていた. 急性冠症候群が疑われたため, 冠動脈造影を実施した. 左右冠動脈に有意狭窄は認めなかった. 左室造影は心基部では過収縮であり心尖部では無収縮のたこつぼ心筋障害類似の壁運動異常をきたしていた. これらの所見から, 当初は心室細動を伴うたこつぼ心筋障害の可...

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Published inShinzo Vol. 47; no. 8; pp. 984 - 989
Main Authors 岩間, 徹, 濱邉, 祐一, 安倍, 大輔, 蕨, 雅大, 黒木, 識敬
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 2015
日本心臓財団・日本循環器学会
Japan Heart Foundation
Subjects
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.47.984

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Summary:62歳男性, 卒倒し意識がないため救急要請となった. 救急隊到着時, 心肺停止状態でありモニター波形は心室細動であった. 心肺蘇生を継続しながら当院搬送された. 当院搬送時のモニター波形は心静止であり心肺蘇生を継続し, 病着25分後に心拍再開した. 心拍再開後の心電図ではⅡ, Ⅲ, aVF誘導でST上昇, 胸部誘導では広範にST低下認めていた. 急性冠症候群が疑われたため, 冠動脈造影を実施した. 左右冠動脈に有意狭窄は認めなかった. 左室造影は心基部では過収縮であり心尖部では無収縮のたこつぼ心筋障害類似の壁運動異常をきたしていた. これらの所見から, 当初は心室細動を伴うたこつぼ心筋障害の可能性が高いと判断した. 心肺停止蘇生後であり, 低体温療法を行ったが, 意識レベルはⅢ-300で変化なく自発呼吸も消失したままであり, 5病日目に死亡した.  病理解剖を行ったところ, 広範な心筋の線維化の内部に散在性に類上皮細胞肉芽腫巣とともに多数の巨細胞浸潤が認められ, この病変は左右心室, 心房全体に不規則に広がっており房室結節周囲などの伝導系近辺にまで及んでいた. この結果, 心臓サルコイドーシスにより, 心室細動をきたし死に至ったと考えられた.  たこつぼ心筋障害類似の壁運動異常をきたす心臓サルコイドーシスは稀であり文献的考察を加え報告する.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.47.984