大動脈二尖弁と右鎖骨下動脈起始異常を基礎に,大動脈弁狭窄,大動脈弁位骨形成,左脚ブロック,上行大動脈瘤および血管輪を呈した1例

症例は55歳男性.幼少時より心雑音を指摘されており,最近になり食物の通りにくさを自覚していた.55歳時,労作時胸痛と呼吸困難を自覚し当院に入院した.心電図にて完全左脚ブロックを認め,心エコー図では大動脈二尖弁と中等度の大動脈弁狭窄症を認めた.心カテーテル検査およびCT検査では,右鎖骨下動脈起始異常による血管輪と上行大動脈瘤がみられた.大動脈弁置換術および上行瘤に対する人工血管置換術を施行した.病理組織学的検索では大動脈弁に骨および骨髄形成を確認した.大動脈二尖弁と右鎖骨下動脈起始異常は,いずれも比較的頻度が高い奇形であるが合併例の報告は少ない.大動脈弁と大動脈弓形成の過程は近年,第2心臓形成領...

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Published inShinzo Vol. 49; no. 4; pp. 391 - 395
Main Authors 小林, 正経, 松村, 祐, 林, 誠一, 甲田, 隆, 三浦, 英男, 束原, 進, 前田, 朋大, 山本, 博昭, 八巻, 文貴, 河野, 恆輔, 板本, 智恵子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 15.04.2017
日本心臓財団・日本循環器学会
Japan Heart Foundation
Subjects
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.49.391

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Summary:症例は55歳男性.幼少時より心雑音を指摘されており,最近になり食物の通りにくさを自覚していた.55歳時,労作時胸痛と呼吸困難を自覚し当院に入院した.心電図にて完全左脚ブロックを認め,心エコー図では大動脈二尖弁と中等度の大動脈弁狭窄症を認めた.心カテーテル検査およびCT検査では,右鎖骨下動脈起始異常による血管輪と上行大動脈瘤がみられた.大動脈弁置換術および上行瘤に対する人工血管置換術を施行した.病理組織学的検索では大動脈弁に骨および骨髄形成を確認した.大動脈二尖弁と右鎖骨下動脈起始異常は,いずれも比較的頻度が高い奇形であるが合併例の報告は少ない.大動脈弁と大動脈弓形成の過程は近年,第2心臓形成領域と心臓神経堤細胞の関与が示されており,両者の合併頻度はもっと高い可能性がある.一方の奇形を認めた場合にもう一方の奇形の有無を検索することが重要と思われる.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.49.391