今川論文に対するEditorial Comment

急性心筋梗塞や解離性大動脈瘤などの循環器緊急疾患の救命率と発症から医療機関への搬送時間との関係に関しての報告は多数認められる. 急性心筋梗塞においては発症から3時間以内においては再灌流時間と再灌流によって得られる心筋救済量には明らかな逆相関関係が認められることが報告されており1), またショック症例においては, 血行再建療法を積極的に施行することが患者の短期予後のみではなく長期予後をも改善することも明らかとなっている2)~4). つまり広範囲心筋虚血が原因の重症ショック症例に対する早期血行再建治療効果は早期血行再建治療が可能であった場合には6年生存率が62.4%であるのに対して, 薬物療法群で...

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Published inShinzo Vol. 44; no. 3; pp. 376 - 377
Main Author 松尾, 仁司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 2012
日本心臓財団
Japan Heart Foundation
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.44.376

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Summary:急性心筋梗塞や解離性大動脈瘤などの循環器緊急疾患の救命率と発症から医療機関への搬送時間との関係に関しての報告は多数認められる. 急性心筋梗塞においては発症から3時間以内においては再灌流時間と再灌流によって得られる心筋救済量には明らかな逆相関関係が認められることが報告されており1), またショック症例においては, 血行再建療法を積極的に施行することが患者の短期予後のみではなく長期予後をも改善することも明らかとなっている2)~4). つまり広範囲心筋虚血が原因の重症ショック症例に対する早期血行再建治療効果は早期血行再建治療が可能であった場合には6年生存率が62.4%であるのに対して, 薬物療法群では44.4%であったことが示されており, いかに迅速にカテーテル検査治療が可能な医療機関に転送し血行再建治療をするのが重要であるかを示している. 今川論文で紹介された症例は, 多枝スパスムが原因の心原性ショック症例に対してへリコプターによる迅速搬送でカテーテル検査を施行, 経皮的心肺補助(percutaneous cardiopulmonary support; PCPS)などの補助循環を用いて救命し得た貴重な症例である5).
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.44.376