下大静脈フィルターの血栓閉塞に カテーテル血栓溶解療法が有効であった1例

症例は30代女性.3週間前に外傷により左膝前十字靭帯断裂をきたし,ほとんど外出せず座位で過ごすことが多かった.その後,徐々に増悪する呼吸困難を自覚し近医を独歩で受診した.12誘導心電図で右心負荷所見を認め,肺塞栓症の疑いで当院に精査入院となった.造影CTで両肺動脈および左浅大腿静脈近位部から膝窩静脈にかけて血栓像を認め,骨盤内に11 cm大の子宮筋腫を認めた.腎静脈下に回収可能型下大静脈フィルターを挿入し,未分画ヘパリンによる抗凝固療法を開始した.入院第7病日の造影CTで,下大静脈フィルターの血栓閉塞を認めた.ウロキナーゼ18万単位/日の全身投与を開始するも,血栓のさらなる増大を認めたため第1...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inShinzo Vol. 49; no. 8; pp. 828 - 833
Main Authors 藤田, 修一, 高橋, 秀明, 武田, 義弘, 柴田, 兼作, 石坂, 信和, 渡辺, 創太, 宗宮, 浩一, 大関, 道薫, 星賀, 正明, 藤阪, 智弘
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 15.08.2017
日本心臓財団・日本循環器学会
Japan Heart Foundation
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.49.828

Cover

More Information
Summary:症例は30代女性.3週間前に外傷により左膝前十字靭帯断裂をきたし,ほとんど外出せず座位で過ごすことが多かった.その後,徐々に増悪する呼吸困難を自覚し近医を独歩で受診した.12誘導心電図で右心負荷所見を認め,肺塞栓症の疑いで当院に精査入院となった.造影CTで両肺動脈および左浅大腿静脈近位部から膝窩静脈にかけて血栓像を認め,骨盤内に11 cm大の子宮筋腫を認めた.腎静脈下に回収可能型下大静脈フィルターを挿入し,未分画ヘパリンによる抗凝固療法を開始した.入院第7病日の造影CTで,下大静脈フィルターの血栓閉塞を認めた.ウロキナーゼ18万単位/日の全身投与を開始するも,血栓のさらなる増大を認めたため第13病日にカテーテル血栓溶解療法を施行した.左膝窩静脈よりパルススプレーカテーテルを下大静脈フィルター部まで挿入し,ウロキナーゼ18万単位/回を4回/日,局所投与した.その後血栓は減少し,第21病日にパルススプレーカテーテルを抜去,第30病日に下大静脈フィルターを抜去した.下大静脈フィルターへの血栓形成や血栓閉塞は新たな静脈血栓や肺塞栓症のリスクとなる.血栓溶解薬の全身投与で改善しない下大静脈フィルターの血栓閉塞に対してカテーテル血栓溶解療法が有用であった1例を報告する.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.49.828