28年後に心室中部閉塞と心尖部心室瘤を生じた心尖部肥大型心筋症の1例
症例は44歳女性. 16歳時に心尖部肥大型心筋症 (APH) を指摘されたが, 以後治療歴. 44歳時に左片麻痺, 構音障害が出現し, 左中大脳動脈領域の脳梗塞の診断にて当院神経内科入院. 入院後非持続性心室頻拍が高頻度に出現し, 当科紹介となった. 心エコーにて, 心尖部心室瘤を合併した心室中部閉塞性肥大型心筋症と診断した. 左室造影では, 心尖部心室瘤内に造影剤のうっ滞がみられ, 瘤内に血栓が生じ脳塞栓をきたしたと考えられた. 心尖部肥大型心筋症は本邦に比較的多い疾患とされ, 通常予後良好とされている. しかし, 長期にわたる経過観察中に突然死や心機能障害をきたしたり, 予後不良例が散見...
Saved in:
Published in | Shinzo Vol. 48; no. 3; pp. 318 - 326 |
---|---|
Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益財団法人 日本心臓財団
2016
日本心臓財団・日本循環器学会 Japan Heart Foundation |
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0586-4488 2186-3016 |
DOI | 10.11281/shinzo.48.318 |
Cover
Summary: | 症例は44歳女性. 16歳時に心尖部肥大型心筋症 (APH) を指摘されたが, 以後治療歴. 44歳時に左片麻痺, 構音障害が出現し, 左中大脳動脈領域の脳梗塞の診断にて当院神経内科入院. 入院後非持続性心室頻拍が高頻度に出現し, 当科紹介となった. 心エコーにて, 心尖部心室瘤を合併した心室中部閉塞性肥大型心筋症と診断した. 左室造影では, 心尖部心室瘤内に造影剤のうっ滞がみられ, 瘤内に血栓が生じ脳塞栓をきたしたと考えられた. 心尖部肥大型心筋症は本邦に比較的多い疾患とされ, 通常予後良好とされている. しかし, 長期にわたる経過観察中に突然死や心機能障害をきたしたり, 予後不良例が散見される. 今回われわれは, APHと診断された28年後に, 心室中部閉塞, 心尖部心室瘤を形成し, 非持続性心室頻拍, 脳梗塞をきたした1例を経験したので若干の文献的考察を加え, 報告する. |
---|---|
ISSN: | 0586-4488 2186-3016 |
DOI: | 10.11281/shinzo.48.318 |