術後35年経過して再発した収縮性心膜炎の1例
65歳男性. 29歳時に交通外傷 (ハンドル外傷) で入院, 30歳時に収縮性心膜炎で手術歴がある. 術後心不全なく経過していた. 2週間前よりの浮腫, 労作時呼吸苦を主訴に当科受診. 肝腫大, 全身浮腫, Kussmaul兆候を認め, 右心不全で入院となる. CT上心尖部を除き広範に約1cmの心膜石灰化を認め, エコーでは高度の左室収縮障害を認めた. 心臓カテーテル検査で両心室の拡張期圧はほぼ同等であり, 右室圧はDip and plateauパターンを呈していた. 心臓MRIで遅延造影は陰性であった. 再発性収縮性心膜炎と診断し, 心膜切除術を施行した. 術後全身状態と血行動態の改善を認め...
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Published in | Shinzo Vol. 46; no. 5; pp. 606 - 612 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益財団法人 日本心臓財団
2014
日本心臓財団・日本循環器学会 Japan Heart Foundation |
Subjects | |
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ISSN | 0586-4488 2186-3016 |
DOI | 10.11281/shinzo.46.606 |
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Summary: | 65歳男性. 29歳時に交通外傷 (ハンドル外傷) で入院, 30歳時に収縮性心膜炎で手術歴がある. 術後心不全なく経過していた. 2週間前よりの浮腫, 労作時呼吸苦を主訴に当科受診. 肝腫大, 全身浮腫, Kussmaul兆候を認め, 右心不全で入院となる. CT上心尖部を除き広範に約1cmの心膜石灰化を認め, エコーでは高度の左室収縮障害を認めた. 心臓カテーテル検査で両心室の拡張期圧はほぼ同等であり, 右室圧はDip and plateauパターンを呈していた. 心臓MRIで遅延造影は陰性であった. 再発性収縮性心膜炎と診断し, 心膜切除術を施行した. 術後全身状態と血行動態の改善を認め, 左室駆出率で26%から56%と著明に改善した. 本症例のように長期的な経過で収縮性心膜炎は再発することは稀である. 文献上再手術までの期間が長いことや, 収縮障害をきたすと予後不良とされるが, 心臓MRIでviabilityが保たれていると判断された症例では, 収縮能が改善する可能性があり, 積極的な手術が望ましいと考えられた. |
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ISSN: | 0586-4488 2186-3016 |
DOI: | 10.11281/shinzo.46.606 |