健常者に発症したSalmonella Choleraesuisによる胸部皮下膿瘍の1例

本邦でも極めてまれなSalmonella enterica subup. enterica serovar Choleraesuisによる胸部皮下膿瘍の1例を経験した。症例は38歳,男性。左前胸部痛から他院を外来受診し,切開排膿するも増悪傾向のため当院へ紹介入院となった。身体所見および画像所見から左前胸部皮下膿瘍と診断された。後日,再度外科的切開排膿術が行われ,同切開部位の開放性膿培養からS. Choleraesuisが検出された。また,外部機関の解析からS. Choleraesuis O7:c:1,5と同定され,侵入性因子関連遺伝子(InvA遺伝子)も陽性であった。S. Choleraesu...

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Published inJapanese Journal of Medical Technology Vol. 64; no. 4; pp. 428 - 432
Main Authors 原田, 崇浩, 長島, 恵子, 北沢, 敏男, 峰岸, 正明
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会 25.07.2015
日本臨床衛生検査技師会
Japanese Association of Medical Technologists
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ISSN0915-8669
2188-5346
DOI10.14932/jamt.14-97

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Summary:本邦でも極めてまれなSalmonella enterica subup. enterica serovar Choleraesuisによる胸部皮下膿瘍の1例を経験した。症例は38歳,男性。左前胸部痛から他院を外来受診し,切開排膿するも増悪傾向のため当院へ紹介入院となった。身体所見および画像所見から左前胸部皮下膿瘍と診断された。後日,再度外科的切開排膿術が行われ,同切開部位の開放性膿培養からS. Choleraesuisが検出された。また,外部機関の解析からS. Choleraesuis O7:c:1,5と同定され,侵入性因子関連遺伝子(InvA遺伝子)も陽性であった。S. Choleraesuisを含む非チフス性サルモネラ(non-typhoid-salmonella; NTS)は膿瘍から検出されることが極めてまれである。一般的にS. CholeraesuisなどのNTSによる局所感染は一般臨床医の認知度が低いため,治療の遅延を生ずることが予想されることから,専門的な情報の提供情報が必要と思われた。また,NTSは潜在的に医療関連感染を起こす可能性があるため,感染対策上および適正な抗菌薬治療においても迅速に菌を検出する必要があることに加えて,S. Choleraesuisの侵襲性が高い特徴を考慮すると,積極的な血液培養検査の施行による菌の早期検出が望まれる。
ISSN:0915-8669
2188-5346
DOI:10.14932/jamt.14-97