疣贅塞栓により心肺停止となった人工弁感染の救命例

症例は83歳の女性である. 今回入院の6カ月前に大動脈弁狭窄症に対して大動脈弁置換術 (生体弁) を施行された. 入院の約2週間前から悪寒および微熱, 呼吸苦, 体重増加を自覚するようになり, 心不全の診断で当院へ搬送された. 精査で大動脈弁位に可動性のある疣贅と弁周囲逆流が認められた. 人工弁感染およびそれに伴う急性大動脈弁逆流症による心不全の診断で準緊急手術を行う方針となった. その待機中に突然の意識障害, 循環不全徴候が認められ, 急性心筋梗塞が疑われたため緊急心臓カテーテル検査の方針とされた. しかし, 検査前に心肺停止となり, 心肺蘇生が行われ, PCPSが導入されたうえで検査施行と...

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Published inShinzo Vol. 47; no. 4; pp. 485 - 489
Main Authors 藤宮, 剛, 清野, 義胤, 清水, 康博, 高橋, 昌一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 2015
日本心臓財団・日本循環器学会
Japan Heart Foundation
Subjects
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.47.485

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Summary:症例は83歳の女性である. 今回入院の6カ月前に大動脈弁狭窄症に対して大動脈弁置換術 (生体弁) を施行された. 入院の約2週間前から悪寒および微熱, 呼吸苦, 体重増加を自覚するようになり, 心不全の診断で当院へ搬送された. 精査で大動脈弁位に可動性のある疣贅と弁周囲逆流が認められた. 人工弁感染およびそれに伴う急性大動脈弁逆流症による心不全の診断で準緊急手術を行う方針となった. その待機中に突然の意識障害, 循環不全徴候が認められ, 急性心筋梗塞が疑われたため緊急心臓カテーテル検査の方針とされた. しかし, 検査前に心肺停止となり, 心肺蘇生が行われ, PCPSが導入されたうえで検査施行となった. 左主幹部の病変に対してステント留置による冠動脈形成術が行われた. その後心機能は改善し, 翌日にPCPSが離脱された. 第5病日に再度大動脈弁置換術を施行し, 起因菌は表皮ブドウ球菌で, 術後約6週間の抗菌薬加療を行い独歩退院となった. 疣贅の塞栓による急性心筋梗塞の救命例は稀であり, 文献的考察を加え報告する.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.47.485