大腿部に巨大膿瘍を合併した感染性大腿動脈瘤の1例

症例は84歳男性で,右浅大腿動脈の完全閉塞による閉塞性動脈硬化症の診断で外来通院していたが,今回は腎盂腎炎の診断で入院となった.入院後,熱発が続き,突然右大腿部の腫脹と疼痛が出現した.造影CT上,右浅大腿動脈仮性瘤に巨大膿瘍を伴い,感染性浅大腿動脈仮性瘤と診断した.まず,初回手術ではlimb salvageを目的として,瘤への流入血管である浅大腿動脈の結紮と,感染部を回避しての大伏在静脈による右総大腿動脈-後脛骨動脈バイパス術を施行した.続く手術では瘤切除と,膿瘍ドレナージを行い開放創とした.膿の培養より腎盂腎炎の起因菌と同じEscherichia coliを検出し,術後は抗生剤投与と開放創の...

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Published in日本血管外科学会雑誌 Vol. 19; no. 7; pp. 743 - 747
Main Authors 藤原, 靖恵, 洞井, 和彦, 飯井, 克明, 河野, 智
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本血管外科学会 2010
日本血管外科学会
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Summary:症例は84歳男性で,右浅大腿動脈の完全閉塞による閉塞性動脈硬化症の診断で外来通院していたが,今回は腎盂腎炎の診断で入院となった.入院後,熱発が続き,突然右大腿部の腫脹と疼痛が出現した.造影CT上,右浅大腿動脈仮性瘤に巨大膿瘍を伴い,感染性浅大腿動脈仮性瘤と診断した.まず,初回手術ではlimb salvageを目的として,瘤への流入血管である浅大腿動脈の結紮と,感染部を回避しての大伏在静脈による右総大腿動脈-後脛骨動脈バイパス術を施行した.続く手術では瘤切除と,膿瘍ドレナージを行い開放創とした.膿の培養より腎盂腎炎の起因菌と同じEscherichia coliを検出し,術後は抗生剤投与と開放創の洗浄,デブリドマンを行い,術後67日目に独歩退院できた.今回は巨大な感染性浅大腿動脈仮性瘤の症例において,二期的に手術を行うことで良好な結果が得られたので報告した.
ISSN:0918-6778
1881-767X
DOI:10.11401/jsvs.19.743