左冠動脈主幹部梗塞を合併した急性大動脈解離に対して経皮的冠動脈形成術および上行部分弓部置換術を施行し救命し得た1例

症例は59歳男性. 2014年5月, 突然の左前胸部痛および右腰背部痛を主訴に当院に救急搬送された. 来院時の身体所見や理学所見はStanford A型急性大動脈解離の存在を疑うものであったが, 心電図でaVRを含む広範囲誘導にST上昇を認め, ショックバイタルであった. 左冠動脈主幹部梗塞の合併を疑い, 救命目的に緊急カテーテル検査を施行した. 大動脈造影でflapが確認され, Stanford A型急性大動脈解離を示唆する所見であった. 冠動脈造影を施行したところ, 左冠動脈主幹部に造影遅延を伴う高度狭窄病変を認めたため, 引き続いて救命目的に経皮的冠動脈形成術を施行した. 血管内超音波で...

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Published inShinzo Vol. 48; no. 6; pp. 639 - 646
Main Authors 辻本, 正彦, 竹田, 泰治, 安村, 良男, 松尾, 浩志, 関谷, 直純, 高橋, 俊樹, 樋口, 義治, 平田, 明生, 西, 宏之, 柏瀬, 一路, 西本, 裕二
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 2016
日本心臓財団・日本循環器学会
Japan Heart Foundation
Subjects
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.48.639

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Summary:症例は59歳男性. 2014年5月, 突然の左前胸部痛および右腰背部痛を主訴に当院に救急搬送された. 来院時の身体所見や理学所見はStanford A型急性大動脈解離の存在を疑うものであったが, 心電図でaVRを含む広範囲誘導にST上昇を認め, ショックバイタルであった. 左冠動脈主幹部梗塞の合併を疑い, 救命目的に緊急カテーテル検査を施行した. 大動脈造影でflapが確認され, Stanford A型急性大動脈解離を示唆する所見であった. 冠動脈造影を施行したところ, 左冠動脈主幹部に造影遅延を伴う高度狭窄病変を認めたため, 引き続いて救命目的に経皮的冠動脈形成術を施行した. 血管内超音波では左冠動脈主幹部の解離および血腫形成の所見を認め, 同部位にステント留置を施行し, 再灌流を得た. その後, 造影CTで上行大動脈から右総大腿動脈に至る大動脈解離の所見を認め, 上行部分弓部置換術を施行した. 今回, 左冠動脈主幹梗塞を合併したStanford A型急性大動脈解離に対して経皮的冠動脈形成術および上行部分弓部置換術を施行し救命し得た1症例を経験したので報告する.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.48.639