Emery-Dreifuss型筋ジストロフィに合併し,急激な心機能低下を認めたラミン関連心筋症の1例

症例は26歳女性.7歳時に先天性ミオパチーと診断された.5年前より心拍数40/分台の洞徐脈を指摘されていた.入院5カ月前より心不全症状,前失神症状が出現し,ペースメーカ植込みが施行された.その際LVDd/Ds=5.4/3.7 cm,EF=58%と心機能は保たれていたが,3カ月後にはLVDd/Ds=5.3/4.1 cm,EF=36%と急激に心機能は悪化し,心不全も徐々に増悪した.遺伝子検査にてLMNA遺伝子変異を認め,ラミン関連心筋症と診断した.また,幼児期より緩徐進行性の筋力低下や関節拘縮を呈し,心伝導障害・心筋症の出現とLMNA遺伝子異常を認め,既存のミオパチーをEmery-Dreifuss...

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Published in心臓 Vol. 49; no. 4; pp. 405 - 410
Main Authors 南場, 一美, 柏村, 健, 大野, 由香子, 藤木, 伸也, 渡邊, 達, 林, 由香, 田中, 孔明, 小幡, 裕明, 佐藤, 光希, 和泉, 大輔, 塙, 晴雄, 南野, 徹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 15.04.2017
日本心臓財団・日本循環器学会
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Summary:症例は26歳女性.7歳時に先天性ミオパチーと診断された.5年前より心拍数40/分台の洞徐脈を指摘されていた.入院5カ月前より心不全症状,前失神症状が出現し,ペースメーカ植込みが施行された.その際LVDd/Ds=5.4/3.7 cm,EF=58%と心機能は保たれていたが,3カ月後にはLVDd/Ds=5.3/4.1 cm,EF=36%と急激に心機能は悪化し,心不全も徐々に増悪した.遺伝子検査にてLMNA遺伝子変異を認め,ラミン関連心筋症と診断した.また,幼児期より緩徐進行性の筋力低下や関節拘縮を呈し,心伝導障害・心筋症の出現とLMNA遺伝子異常を認め,既存のミオパチーをEmery-Dreifuss型筋ジストロフィと診断した.2カ月後には安静時呼吸苦が出現し,救急搬送された.LVDd/Ds=4.9/4.2 cm,EF=28%と心機能はさらに悪化を認めた.ドブタミン併用下に,静注利尿薬,トルバプタン,ミルリノンを使用し,CRT-Dへのupgradeを施行し,徐々に心不全症状は改善した.カルベジロールを10 mgまで漸増したが,低心拍出による全身倦怠感,腎機能増悪が出現し,静注強心薬からの離脱に難渋した.経口強心薬を併用しつつ,静注強心薬から離脱し,入院6カ月後に退院した.Emery-Dreifuss型筋ジストロフィに合併し,急激な心機能低下を認めたラミン関連心筋症の1例を経験したので報告する.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.49.405