未破裂動脈瘤が同時に存在した外傷後バルサルバ洞動脈瘤破裂の1例

症例は37歳,男性.胸部外傷後に呼吸困難を自覚し紹介受診となった.連続性心雑音および心不全徴候がみられ,心臓超音波検査でバルサルバ洞近傍の袋状構造物や同部位から右房へ高速の短絡血流が確認されたことからバルサルバ洞動脈瘤破裂と診断された.右心カテーテルで右心系内圧の上昇,血液ガスサンプリングでは右心房内での酸素飽和度のステップアップが確認された.大動脈造影でバルサルバ洞から右房への短絡血流が描出された.心不全の加療が終了した後にバルサルバ洞動脈瘤のパッチ閉鎖術を実施した.術中所見では無冠動脈洞に径5 mm大の瘻孔があり,右房に瘻孔が開口していた.また右冠動脈洞には未破裂の動脈瘤も認め,バルサルバ...

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Published inShinzo Vol. 49; no. 7; pp. 718 - 723
Main Authors 廣井, 透雄, 原, 久男, 中川, 尭, 福田, 尚司, 田守, 唯一, 保坂, 茂, 橋本, 理生
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 15.07.2017
日本心臓財団・日本循環器学会
Japan Heart Foundation
Subjects
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.49.718

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Summary:症例は37歳,男性.胸部外傷後に呼吸困難を自覚し紹介受診となった.連続性心雑音および心不全徴候がみられ,心臓超音波検査でバルサルバ洞近傍の袋状構造物や同部位から右房へ高速の短絡血流が確認されたことからバルサルバ洞動脈瘤破裂と診断された.右心カテーテルで右心系内圧の上昇,血液ガスサンプリングでは右心房内での酸素飽和度のステップアップが確認された.大動脈造影でバルサルバ洞から右房への短絡血流が描出された.心不全の加療が終了した後にバルサルバ洞動脈瘤のパッチ閉鎖術を実施した.術中所見では無冠動脈洞に径5 mm大の瘻孔があり,右房に瘻孔が開口していた.また右冠動脈洞には未破裂の動脈瘤も認め,バルサルバ洞動脈瘤破裂に未破裂の動脈瘤が同時に認められた稀な症例であり,文献的考察を加えて報告する.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.49.718