保健所の結核患者支援における薬剤投与量および投与日数のモニタリングの重要性

〔目的〕保健所の患者支援における抗結核薬投与量および治療期間のモニタリングの重要性を実地データに基づいて考察する。〔対象と方法〕新宿区保健所におけるコホート検討会データを基に,主要抗結核薬の投与量および治療期間の実態を調査する。〔結果〕治療開始時のリファンピシンおよびイソニアジド投与が「推奨」投与量どおりであったのは,結核専門病院でそれぞれ81.0%(98/121)および93.5%(86/92),新宿区保健所で57.3%(67/117)および82.0%(114/139)で,両薬剤とも有意差(5%)をもって結核専門病院のほうが高かった。治療期間では,標準治療を標準的治療期間で完遂可能であった92...

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Published in結核 Vol. 89; no. 10; pp. 771 - 776
Main Authors 永田, 容子, 神楽岡, 澄, 伊藤, 邦彦, 吉山, 崇, 浦川, 美奈子, 福内, 恵子, 渡部, 裕之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本結核病学会 2014
日本結核病学会
Subjects
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ISSN0022-9776
1884-2410
DOI10.11400/kekkaku.89.771

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Summary:〔目的〕保健所の患者支援における抗結核薬投与量および治療期間のモニタリングの重要性を実地データに基づいて考察する。〔対象と方法〕新宿区保健所におけるコホート検討会データを基に,主要抗結核薬の投与量および治療期間の実態を調査する。〔結果〕治療開始時のリファンピシンおよびイソニアジド投与が「推奨」投与量どおりであったのは,結核専門病院でそれぞれ81.0%(98/121)および93.5%(86/92),新宿区保健所で57.3%(67/117)および82.0%(114/139)で,両薬剤とも有意差(5%)をもって結核専門病院のほうが高かった。治療期間では,標準治療を標準的治療期間で完遂可能であった92例中,治療期間不足例は15.2%(14/92,-32~-1日),治療期間超過例は77.2%(71/92,+2~+146日)で超過日数の合計は1,877日であった。治療期間の逸脱が2週間を超える例は31例見られ,その71.0%(22/31)では治療期間逸脱の理由は見当たらなかった。〔考察と結論〕薬剤投与量および治療期間は多くの患者で基準が守られていない。投与量および投与期間に関する支援をも保健所における患者支援に組み入れることで,患者支援の質がさらに向上することが期待できると思われる。
ISSN:0022-9776
1884-2410
DOI:10.11400/kekkaku.89.771