側副血管に冠動脈瘤を認めた全身性エリテマトーデスの1例

症例は65歳女性. 1976年にSLEと診断され, 12年間ステロイド治療の既往がある. 2013年5月労作時息切れを主訴に他院外来を初診した. 僧帽弁逆流症による心不全と診断され治療を開始したが, 同年6月になり安静時の呼吸困難を訴え当科に入院した. 加療により心不全は軽快したが, 僧帽弁逆流症は高度であり手術適応と判断された. 術前に施行した冠動脈造影にて右冠動脈#1~#3に拡張病変を認め, #4AVで閉塞していた. 末梢へは左回旋枝左房枝から良好な側副血行が流入し, 側副血管に冠動脈瘤を認めた. 僧帽弁置換術と同時に#4AVへの側副血管流入部を結紮し, 冠動脈バイパス術, #4AVの冠動...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inShinzo Vol. 47; no. 6; pp. 712 - 716
Main Authors 寺西, 純一, 小松, 博史, 本間, 恒章, 藤田, 雅章, 井上, 仁喜, 加藤, 瑞季, 森本, 清貴, 竹中, 孝, 大津, 圭介, 佐藤, 実, 石橋, 義光, 武藤, 晴達
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 2015
日本心臓財団・日本循環器学会
Japan Heart Foundation
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.47.712

Cover

More Information
Summary:症例は65歳女性. 1976年にSLEと診断され, 12年間ステロイド治療の既往がある. 2013年5月労作時息切れを主訴に他院外来を初診した. 僧帽弁逆流症による心不全と診断され治療を開始したが, 同年6月になり安静時の呼吸困難を訴え当科に入院した. 加療により心不全は軽快したが, 僧帽弁逆流症は高度であり手術適応と判断された. 術前に施行した冠動脈造影にて右冠動脈#1~#3に拡張病変を認め, #4AVで閉塞していた. 末梢へは左回旋枝左房枝から良好な側副血行が流入し, 側副血管に冠動脈瘤を認めた. 僧帽弁置換術と同時に#4AVへの側副血管流入部を結紮し, 冠動脈バイパス術, #4AVの冠動脈瘤縫縮術を施行した. 術後冠動脈CTにて側副血管冠動脈瘤の血栓閉塞を確認した. SLEでは心血管病変の罹病率, 死亡率が高く, 冠動脈解離や冠動脈瘤の併発例も散見されるが, 本症例のように側副血管に冠動脈瘤を認めた例はこれまで報告がない. 瘤の形成過程を考える上で貴重な症例と考えられたので報告する.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.47.712