7種の臨床材料を使用した液状化検体細胞診3方法における細胞所見の比較

本邦において主に用いられている液状化検体細胞診(LBC)法はThinPrep(TP)法,SurePath(SP)法,TACAS(TAC)法であるが,標本作製原理や試薬などが異なっているため,各標本での細胞の塗抹量や形態における差異が予測される。そのため,各々のLBC法について7つの細胞材料(肺,甲状腺,乳腺,子宮頸部,子宮内膜,尿,体腔液)を使用し,細胞学的所見を比較した。その結果,細胞の採取量と診断に値する目的細胞の出現量について,肺,甲状腺,子宮頸部,子宮内膜ではSPはTACおよびTPよりも,TACはTPよりも,有意に高値であった。乳腺,体腔液ではSPおよびTACはTPよりも有意に高値であ...

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Published inJapanese Journal of Medical Technology Vol. 66; no. 1; pp. 60 - 67
Main Authors 前田, 智治, 寺本, 典弘, 則松, 良明, 香川, 昭博
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会 25.01.2017
日本臨床衛生検査技師会
Japanese Association of Medical Technologists
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ISSN0915-8669
2188-5346
DOI10.14932/jamt.16-24

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Summary:本邦において主に用いられている液状化検体細胞診(LBC)法はThinPrep(TP)法,SurePath(SP)法,TACAS(TAC)法であるが,標本作製原理や試薬などが異なっているため,各標本での細胞の塗抹量や形態における差異が予測される。そのため,各々のLBC法について7つの細胞材料(肺,甲状腺,乳腺,子宮頸部,子宮内膜,尿,体腔液)を使用し,細胞学的所見を比較した。その結果,細胞の採取量と診断に値する目的細胞の出現量について,肺,甲状腺,子宮頸部,子宮内膜ではSPはTACおよびTPよりも,TACはTPよりも,有意に高値であった。乳腺,体腔液ではSPおよびTACはTPよりも有意に高値であった。尿ではSPはTACおよびTPよりも有意に高値であった。核クロマチンの状態と細胞質の保持について,尿では3法間で有意差を認めなかったが,他の材料ではSPおよびTACはTPよりも有意に保持されていた。背景の炎症所見について,尿ではSPはTACおよびTPよりも,他の材料ではSPおよびTACはTPよりも,有意に軽減していた。判定の可否について,尿では3法間で有意差を認めなかったが,他材料でTPはSPおよびTACよりも判定不可が有意に高率であり,全材料の比較においても同様の結果であった。以上のことより,同じLBC法でも標本作製原理や固定液等が異なると,細胞の塗抹量や形態に差異が生じることが明らかになった。
ISSN:0915-8669
2188-5346
DOI:10.14932/jamt.16-24