難治性CLLの新規治療薬アレムツズマブが奏功したT-PLLの一症例

患者は80歳代女性。他院にて白血球高値を指摘され精査目的で当院受診した。当院検査所見:WBC 11,100/μL(LY 71.5%),Hb 12.6 g/dL,PLT 29.1万/μL。表面マーカー解析:CD2+, 3+, 4+, 5+, 7+, 8+。以上よりT-PLLと診断された。診断当初は経過観察となったが,途中病状の増悪を認め治療開始となった。しかしフルダラビン療法およびTHP-COP療法ともに効果なく,難治性CLLに対する分子標的薬Alemtuzumab(ALZ)の適応となった。ALZ投与後Day 3でWBCは正常域に達し,病状は劇的に改善した。ALZ投与ガイドラインに沿って最大12...

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Published in医学検査 Vol. 66; no. 2; pp. 163 - 167
Main Author 西原, 佑昇
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会 25.03.2017
日本臨床衛生検査技師会
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Summary:患者は80歳代女性。他院にて白血球高値を指摘され精査目的で当院受診した。当院検査所見:WBC 11,100/μL(LY 71.5%),Hb 12.6 g/dL,PLT 29.1万/μL。表面マーカー解析:CD2+, 3+, 4+, 5+, 7+, 8+。以上よりT-PLLと診断された。診断当初は経過観察となったが,途中病状の増悪を認め治療開始となった。しかしフルダラビン療法およびTHP-COP療法ともに効果なく,難治性CLLに対する分子標的薬Alemtuzumab(ALZ)の適応となった。ALZ投与後Day 3でWBCは正常域に達し,病状は劇的に改善した。ALZ投与ガイドラインに沿って最大12週間投与され,終了2ヶ月目の現在,状態は安定し継続加療中である。今回,新薬の奏効により予後不良のT-PLLの治療に大きな期待を抱く結果を得た。一方で我々検査技師としては,治療による大幅な検査値の変動に対し,その要因を把握することは精度保証の観点から非常に重要である。医学の進歩が著しい現代において,新薬や治療についても情報収集をすることは,我々の新たな責務といえる。
ISSN:0915-8669
2188-5346
DOI:10.14932/jamt.16-66