嵯峨論文に対するEditorial Comment
複雑先天性心疾患においては, 小児循環器内科学・小児循環器外科学の目覚ましい発展に伴い, 成人となる複雑先天性心疾患術後の症例が年間1万例ずつ増加している. 一般に, 成人を迎えた後の術後複雑先天的心疾患では, 心機能不全と不整脈が, 最も問題となることが示されており, 今後, 循環器内科領域でも重要な問題となると考えられる. 嵯峨論文は, 修正大血管転位(transposition of the great arteries;TGA)成人例において, 解剖学的右室の機能不全による心不全と, 心停止発作を認めた症例に対して, 心室再同期治療(cardiac resynchronization...
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Published in | Shinzo Vol. 43; no. 5; p. 680 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益財団法人 日本心臓財団
2011
日本心臓財団 Japan Heart Foundation |
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ISSN | 0586-4488 2186-3016 |
DOI | 10.11281/shinzo.43.680 |
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Summary: | 複雑先天性心疾患においては, 小児循環器内科学・小児循環器外科学の目覚ましい発展に伴い, 成人となる複雑先天性心疾患術後の症例が年間1万例ずつ増加している. 一般に, 成人を迎えた後の術後複雑先天的心疾患では, 心機能不全と不整脈が, 最も問題となることが示されており, 今後, 循環器内科領域でも重要な問題となると考えられる. 嵯峨論文は, 修正大血管転位(transposition of the great arteries;TGA)成人例において, 解剖学的右室の機能不全による心不全と, 心停止発作を認めた症例に対して, 心室再同期治療(cardiac resynchronization therapy;CRT)が著効した症例を報告している. 心停止発作蘇生後に, 遷延する低心機能による心不全を認めたカテコラミン離脱困難例において, 解剖的右室の著明な伝導遅延を伴う収縮不全に対して, 心室再同期療法が著効することを明らかにした点で価値のある報告である. 末期心不全による悪液質を認めた症例に対し, 多くの困難を乗り越えて成功に導いたことは, 特筆すべきである. |
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ISSN: | 0586-4488 2186-3016 |
DOI: | 10.11281/shinzo.43.680 |