遠位弓部大動脈瘤に対するオープンステントグラフト法の検討

【目的】当科では遠位弓部大動脈瘤に対しオープンステントグラフト(以下OSG)法を積極的に行ってきた.当初OSG単独のinclusion法を行ってきたが,2004年より弓部全置換を併施するようになった.Inclusion法および弓部全置換併施のOSG法の比較を行い,弓部全置換併施の妥当性につき検討した.【方法】2000年10月~2008年9月までにOSG法を行った遠位弓部大動脈瘤30例を対象とした.15例にinclusion法を行い(以下I群),15例に弓部全置換を併施した(以下T群).2群間で術前・術中・術後因子につき比較検討を行った.【結果】両群の平均年齢・性別ともに有意差は認められなかった...

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Published in日本血管外科学会雑誌 Vol. 19; no. 6; pp. 665 - 669
Main Authors 小此木, 修一, 大林, 民幸, 小谷野, 哲也, 安原, 清光
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本血管外科学会 25.10.2010
日本血管外科学会
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Summary:【目的】当科では遠位弓部大動脈瘤に対しオープンステントグラフト(以下OSG)法を積極的に行ってきた.当初OSG単独のinclusion法を行ってきたが,2004年より弓部全置換を併施するようになった.Inclusion法および弓部全置換併施のOSG法の比較を行い,弓部全置換併施の妥当性につき検討した.【方法】2000年10月~2008年9月までにOSG法を行った遠位弓部大動脈瘤30例を対象とした.15例にinclusion法を行い(以下I群),15例に弓部全置換を併施した(以下T群).2群間で術前・術中・術後因子につき比較検討を行った.【結果】両群の平均年齢・性別ともに有意差は認められなかった.術後ICU滞在日数や挿管時間などの術後経過に有意差は認めなかった.術後合併症はI群7例(46.7%),T群3例(20.0%)に認めた.合併症の詳細はI群でエンドリーク3例,対麻痺・ステント脱落・縦隔炎・痙攣を各1例ずつ,T群は対麻痺2例,脳梗塞1例を認めた.I群の1例(6.7%)を敗血症で失ったが,T群では死亡0例(0%)であった.術後中期にI群2例,B群1例にエンドリークを認め,再手術を行った.またI群でステント屈曲1例を認めたほか,エンドリークによると思われる大動脈瘤破裂で1例を失った.【結論】術直後の合併症の発生頻度はI群で高い傾向にあった.また中期成績において統計学的有意差はないもののI群でステントグラフト関連のイベント発生頻度が高い傾向にあった.OSG法は弓部全置換術を併施する方が好ましいと考えられた.
ISSN:0918-6778
1881-767X
DOI:10.11401/jsvs.19.665