岡本論文に対するEditorial Comment

僧帽弁閉鎖不全症(mitral regurgitation;MR)は心臓弁膜症の中で最も頻度の高い疾患であり, 逸脱など弁葉自体に異常を有する器質性MRと, 弁葉以外の僧帽弁複合体の構造的異常に続発する機能性MRとに分類される. 弁葉以外の僧帽弁複合体とはすなわち左心房, 僧帽弁輪および腱索・乳頭筋・左心室のことを指しており, 機能性MRは大きく2つ(心房性と心室性)に分けられる. 前者では, 長期持続性心房細動などにより, 左心房が後方優位に拡張して弁輪拡大, 特に僧帽弁後尖の付着長が引き延ばされた結果, 弁接合領域の減少に繋がる. 一部の症例では後尖の可動性低下が顕著であることが知られてい...

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Published inShinzo Vol. 53; no. 4; pp. 393 - 394
Main Author 宇都宮, 裕人
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 15.04.2021
日本心臓財団・日本循環器学会
Japan Heart Foundation
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.53.393

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Summary:僧帽弁閉鎖不全症(mitral regurgitation;MR)は心臓弁膜症の中で最も頻度の高い疾患であり, 逸脱など弁葉自体に異常を有する器質性MRと, 弁葉以外の僧帽弁複合体の構造的異常に続発する機能性MRとに分類される. 弁葉以外の僧帽弁複合体とはすなわち左心房, 僧帽弁輪および腱索・乳頭筋・左心室のことを指しており, 機能性MRは大きく2つ(心房性と心室性)に分けられる. 前者では, 長期持続性心房細動などにより, 左心房が後方優位に拡張して弁輪拡大, 特に僧帽弁後尖の付着長が引き延ばされた結果, 弁接合領域の減少に繋がる. 一部の症例では後尖の可動性低下が顕著であることが知られている. 後者では, 心筋梗塞や心筋症によって左心室の収縮障害や拡大が生じることにより乳頭筋・腱索を通じた弁葉の牽引(テザリング)が惹起され, 結果として弁接合を損なわせる.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.53.393