FDPとDダイマーが偽高値を示した血管免疫芽球性T細胞リンパ腫の1症例

血液腫瘍性の高γグロブリン血症では,抗原抗体反応を原理とする検査項目においてしばしば非特異反応を示すことが報告されている。今回我々は,血管免疫芽球性T細胞リンパ腫(AITL)の患者において,FDPとD-Dが偽高値を示した症例を経験したので報告する。患者は60歳代女性。多発性のリンパ節腫大,皮疹,肝肺浸潤の症状で発症し,AITLと診断された。入院後9病日目に,D-Dが「プロゾン」というエラーメッセージと共に高値を示した。レンジオーバーを考え希釈測定を行ったところ,D-Dは予想値よりも著明に低値を示したため,非特異反応を疑い精査を行った。FDPとD-Dが偽高値となった時期に免疫グロブリン値が上昇し...

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Published inJapanese Journal of Medical Technology Vol. 67; no. 1; pp. 119 - 123
Main Authors 大塚, 翔平, 倉島, 祥子, 小林, 光, 中澤, 美帆, 徳竹, 孝好
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会 25.01.2018
日本臨床衛生検査技師会
Japanese Association of Medical Technologists
Subjects
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ISSN0915-8669
2188-5346
DOI10.14932/jamt.17-91

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Summary:血液腫瘍性の高γグロブリン血症では,抗原抗体反応を原理とする検査項目においてしばしば非特異反応を示すことが報告されている。今回我々は,血管免疫芽球性T細胞リンパ腫(AITL)の患者において,FDPとD-Dが偽高値を示した症例を経験したので報告する。患者は60歳代女性。多発性のリンパ節腫大,皮疹,肝肺浸潤の症状で発症し,AITLと診断された。入院後9病日目に,D-Dが「プロゾン」というエラーメッセージと共に高値を示した。レンジオーバーを考え希釈測定を行ったところ,D-Dは予想値よりも著明に低値を示したため,非特異反応を疑い精査を行った。FDPとD-Dが偽高値となった時期に免疫グロブリン値が上昇していたことや,DTT処理によって測定値の低下が見られたことから,偽高値の原因はIgMが関与しているものと推測された。また,Western blotting像からも,希釈測定値が真値に近いと考えられた。本症例のように,臨床的な出血症状や血栓症状がなく,FDPやD-Dが偽高値を示す場合,非特異反応かどうかを判別するための確認法として,希釈測定が簡便でかつ有用な方法の一つであることが示唆された。
ISSN:0915-8669
2188-5346
DOI:10.14932/jamt.17-91