側開胸後22年経過した肋骨ワイヤーによる心損傷の1手術治験例

症例は43歳女性,21歳時に外傷性大動脈解離に対して左側開胸下で修復術(詳細不明)を受けていた.来院5日前に胸のつかえ感が出現し,症状増悪と低血圧のため救急搬送された.胸部単純写真上に心拡大あり,心エコー検査にて中等量の心嚢液貯留を認めた.大動脈解離の否定のため施行した造影CTにて,肋骨ワイヤーによる心膜および心臓損傷,外傷性心タンポナーデと診断し,緊急手術を施行した.術中所見では肋骨閉鎖用のワイヤーがほぼ垂直に胸壁から突出しており,心膜を貫通して心嚢内に達していた.心膜および心表面は高度の瘢痕組織を認め,長期間ワイヤーによる損傷に曝されていた所見であった.第3対角枝損傷による動脈性出血を伴っ...

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Published inShinzo Vol. 49; no. 5; pp. 481 - 485
Main Authors 大上, 賢祐, 田中, 哲文, 籏, 厚, 山本, 直樹, 三宅, 陽一郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 15.05.2017
日本心臓財団・日本循環器学会
Japan Heart Foundation
Subjects
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.49.481

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Summary:症例は43歳女性,21歳時に外傷性大動脈解離に対して左側開胸下で修復術(詳細不明)を受けていた.来院5日前に胸のつかえ感が出現し,症状増悪と低血圧のため救急搬送された.胸部単純写真上に心拡大あり,心エコー検査にて中等量の心嚢液貯留を認めた.大動脈解離の否定のため施行した造影CTにて,肋骨ワイヤーによる心膜および心臓損傷,外傷性心タンポナーデと診断し,緊急手術を施行した.術中所見では肋骨閉鎖用のワイヤーがほぼ垂直に胸壁から突出しており,心膜を貫通して心嚢内に達していた.心膜および心表面は高度の瘢痕組織を認め,長期間ワイヤーによる損傷に曝されていた所見であった.第3対角枝損傷による動脈性出血を伴っており,心タンポナーデの原因と考えられた.自己心膜プレジェットを用いた縫合止血により修復した.周術期に虚血性イベントはなく,良好な経過にて術後13日目に独歩退院した.側開胸術後22年経過し,肋骨ワイヤーによる心損傷および心タンポナーデを発症した稀な1例を経験したので報告する.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.49.481