ヌクレアーゼ抵抗性化学修飾核酸の開発研究
「1. はじめに」低分子創薬は徐々に困難になりつつあると言われて久しい. 容易に創薬できる標的の枯渇が主要な原因と考えられている. それを補完すべく, 従来比較的困難であった高分子創薬が注目されている. 従来とは異なる標的に対する創薬が可能であるからであろうか. 高分子創薬の主役として期待されているのは, タンパク質と核酸であるが, タンパク質による抗体医薬開発が一歩先んじ, 核酸医薬開発は困難を極めているのが現状である. それは, 1)われわれの細胞では, 外来病原体である細菌やウイルスなどを非自己と認識する自然免疫が発達し, 特に, それらの遺伝子であるDNAやRNAを感知するシステムがエ...
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Published in | YAKUGAKU ZASSHI Vol. 131; no. 2; pp. 285 - 298 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益社団法人 日本薬学会
2011
日本薬学会 |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0031-6903 1347-5231 |
DOI | 10.1248/yakushi.131.285 |
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Summary: | 「1. はじめに」低分子創薬は徐々に困難になりつつあると言われて久しい. 容易に創薬できる標的の枯渇が主要な原因と考えられている. それを補完すべく, 従来比較的困難であった高分子創薬が注目されている. 従来とは異なる標的に対する創薬が可能であるからであろうか. 高分子創薬の主役として期待されているのは, タンパク質と核酸であるが, タンパク質による抗体医薬開発が一歩先んじ, 核酸医薬開発は困難を極めているのが現状である. それは, 1)われわれの細胞では, 外来病原体である細菌やウイルスなどを非自己と認識する自然免疫が発達し, 特に, それらの遺伝子であるDNAやRNAを感知するシステムがエンドソームのみならず細胞質内にかなり巧妙に張り巡らされているからである. 投与した核酸医薬が非自己とみなされると抗菌・抗ウイルスの自然免疫が活性化され, 狙った効果ではなく望ましくない効果(off-target効果)の発現につながり, 場合によっては死に至る. |
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ISSN: | 0031-6903 1347-5231 |
DOI: | 10.1248/yakushi.131.285 |