Real-time PCRを用いたHTLV-1遺伝子定量法の確立

臓器移植では,レシピエントがドナーから持ち込まれたウイルスによって移植後に重大な感染症による合併症を引き起こすことが知られている。そのため,移植禁忌とされているヒトT細胞白血病ウイルスI型(human T-cell leukemia virus type 1; HTLV-1)などの感染症は,移植前検査を行い感染の有無を確認することが重要である。ただし,生体腎移植では,移植前からHTLV-1に感染していたレシピエントにHTLV-1感染ドナーからの臓器提供は禁忌とされてはいない。そのため,HTLV-1の定量は感染リスクを評価する上で必要であると筆者らは考えている。本研究では,HTLV-1のラインブ...

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Published in医学検査 Vol. 73; no. 3; pp. 423 - 431
Main Authors 岩上, 恵梨, 細羽, 恵美子, 笹野, まゆ, 小林, 悠梨, 石田, 英樹, 三浦, ひとみ, 石塚, 敏, 海上, 耕平
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会 25.07.2024
日本臨床衛生検査技師会
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ISSN0915-8669
2188-5346
DOI10.14932/jamt.23-108

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Summary:臓器移植では,レシピエントがドナーから持ち込まれたウイルスによって移植後に重大な感染症による合併症を引き起こすことが知られている。そのため,移植禁忌とされているヒトT細胞白血病ウイルスI型(human T-cell leukemia virus type 1; HTLV-1)などの感染症は,移植前検査を行い感染の有無を確認することが重要である。ただし,生体腎移植では,移植前からHTLV-1に感染していたレシピエントにHTLV-1感染ドナーからの臓器提供は禁忌とされてはいない。そのため,HTLV-1の定量は感染リスクを評価する上で必要であると筆者らは考えている。本研究では,HTLV-1のラインブロット法(line blotting assay; LIA)法において判定保留となった場合を想定し,レシピエントおよびドナーの迅速診断に対応するため最終の確定診断となる遺伝子増幅法(real-time polymerase chain reaction; real-time PCR)を用いてHTLV-1遺伝子定量法(quantitative PCR)の確立を目指し検討を行った。Quantitative PCRに必要なstandard curveは,HTLV-1の配列より作成した合成オリゴヌクレオチドDNA fragmentsを使用しthreshold cycle(Ct)値からHTLV-1 DNA量(copies/μL)を算出するようにした。本研究において確立したquantitative PCRは,人工的に作成したDNA fragmentsを使用しているため,安定したHTLV-1の定量化が可能になると筆者らは考えている。
ISSN:0915-8669
2188-5346
DOI:10.14932/jamt.23-108