上田法を実施した脳性麻痺者の不正咬合率
脳性麻痺者に行われている運動療法(上田法,各種の運動療法)と脳性麻痺者の不正咬合の関係について調査した.対象者は,12歳以上の脳性麻痺者39名であった.保護者から患者背景の聴取および口腔内診査を行い,治療法と不正咬合の関係について次の結果を得た.上田法実施群20名,その他リハビリテーション実施群19名で,粗大運動能力分類システム(GMFCS),麻痺の部位,麻痺の分類,原始反射,治療の頻度,臼歯部不正咬合出現頻度,Angleの不正咬合分類に有意差を認めなかった.前歯部不正咬合出現率は上田法実施群では25.0%,その他群では73.7%と有意差が認められ(p<0.01),特に前歯部の開咬の発生率は上...
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Published in | 日本障害者歯科学会雑誌 Vol. 38; no. 4; pp. 510 - 515 |
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Main Authors | , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本障害者歯科学会
2017
日本障害者歯科学会 The Japanese Society for Disability and Oral Health |
Subjects | |
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ISSN | 0913-1663 2188-9708 |
DOI | 10.14958/jjsdh.38.510 |
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Summary: | 脳性麻痺者に行われている運動療法(上田法,各種の運動療法)と脳性麻痺者の不正咬合の関係について調査した.対象者は,12歳以上の脳性麻痺者39名であった.保護者から患者背景の聴取および口腔内診査を行い,治療法と不正咬合の関係について次の結果を得た.上田法実施群20名,その他リハビリテーション実施群19名で,粗大運動能力分類システム(GMFCS),麻痺の部位,麻痺の分類,原始反射,治療の頻度,臼歯部不正咬合出現頻度,Angleの不正咬合分類に有意差を認めなかった.前歯部不正咬合出現率は上田法実施群では25.0%,その他群では73.7%と有意差が認められ(p<0.01),特に前歯部の開咬の発生率は上田法実施群で5.0%と,その他群の47.4%に比べ低かった(p=0.002).今回の調査により上田法群はその他群に比べ開咬が少ない傾向が認められた.咬合状態は,筋の過緊張や痙縮の影響があるとされており,上田法を施術している脳性麻痺者は,不正咬合を多く認めなかった. |
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ISSN: | 0913-1663 2188-9708 |
DOI: | 10.14958/jjsdh.38.510 |