マージナルドナーからの脳死肝グラフトを用いて救命した肝細胞がん合併非代償性肝硬変の1例
「I. はじめに」肝移植は, 末期的肝不全に対してきわめて有効な治療法として脳死肝移植を主体として欧米で発達してきた. 一方で, 本邦では生体肝移植が末期的肝不全に対する標準的治療として行われ, 生体肝移植の手術成績は世界でも類を見ないすばらしいものとなっている. その反面で, 1997年の臓器移植法の施行, 2010年の改正臓器移植法の施行後もドナー不足は改善していない. 特に生体肝移植のドナーがいない末期的肝不全症例は脳死肝移植のみが長期生存の唯一の方法であり, このような脳死肝移植を必要とする症例の救命のためには, 適格ドナーのみならずマージナルドナーからの移植が医療資源を最大限有効に使...
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Published in | Japanese Journal of Transplantation Vol. 52; no. 4-5; pp. 397 - 403 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本移植学会
2017
日本移植学会 The Japan Society for Transplantation |
Subjects | |
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ISSN | 0578-7947 2188-0034 |
DOI | 10.11386/jst.52.4-5_397 |
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Summary: | 「I. はじめに」肝移植は, 末期的肝不全に対してきわめて有効な治療法として脳死肝移植を主体として欧米で発達してきた. 一方で, 本邦では生体肝移植が末期的肝不全に対する標準的治療として行われ, 生体肝移植の手術成績は世界でも類を見ないすばらしいものとなっている. その反面で, 1997年の臓器移植法の施行, 2010年の改正臓器移植法の施行後もドナー不足は改善していない. 特に生体肝移植のドナーがいない末期的肝不全症例は脳死肝移植のみが長期生存の唯一の方法であり, このような脳死肝移植を必要とする症例の救命のためには, 適格ドナーのみならずマージナルドナーからの移植が医療資源を最大限有効に使用する上では避けられない状況にある. 今回, ミラノ基準内でコントロールを継続してきた肝細胞がんを合併した非代償性C型肝硬変症例に対してマージナルドナーから提供された脳死肝グラフトを用いた脳死肝移植によって救命した1例を経験したので, 文献的考察を加えて報告する. |
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ISSN: | 0578-7947 2188-0034 |
DOI: | 10.11386/jst.52.4-5_397 |