直腸がん切除術に伴う一時的回腸ストーマ閉鎖術後の排便障害-初回外来受診時の排便障害の実態と関連要因

【目的】直腸がん切除術後に一時的回腸ストーマ閉鎖術を受けた患者の排便障害の実態と関連要因について検討する。【方法】対象は、直腸がん術後に一時的回腸ストーマ閉鎖術を受けた後、2018年4月~2020年9月に初回外来を受診した患者である。排便障害は、「排便障害評価尺度ver.2(12点:排便障害~60点:高度排便障害)」を用いて聞き取り調査した。関連要因は、聞き取りおよび診療録にて調査した。【結果】解析対象は52名で、年齢中央値65.5歳(範囲:32~86)、男性31名(59.6%)であった。中央値として排便回数は10回、尺度合計は35.5点、下位尺度「便の保持と排泄」が25.0点、「つきまとう便...

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Published in日本ストーマ・排泄リハビリテーション学会誌 Vol. 38; no. 3; pp. 154 - 162
Main Authors 川村, 美紀子, 綿貫, 恵美子, 小山, 幸代
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本ストーマ・排泄リハビリテーション学会 2022
Japanese Society of Stoma and Continence Rehabilitation
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ISSN1882-0115
2434-3056
DOI10.32158/jsscr.38.3_154

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Summary:【目的】直腸がん切除術後に一時的回腸ストーマ閉鎖術を受けた患者の排便障害の実態と関連要因について検討する。【方法】対象は、直腸がん術後に一時的回腸ストーマ閉鎖術を受けた後、2018年4月~2020年9月に初回外来を受診した患者である。排便障害は、「排便障害評価尺度ver.2(12点:排便障害~60点:高度排便障害)」を用いて聞き取り調査した。関連要因は、聞き取りおよび診療録にて調査した。【結果】解析対象は52名で、年齢中央値65.5歳(範囲:32~86)、男性31名(59.6%)であった。中央値として排便回数は10回、尺度合計は35.5点、下位尺度「便の保持と排泄」が25.0点、「つきまとう便意」が9.0点であった。下位尺度「便の保持と排泄」は、括約筋間直腸切除術(ISR)の28.0点が超低位前方切除術(vLAR)の21.5点より有意に高く、「つきまとう便意」では、低位前方切除術(LAR)の11.0点がvLARの7.0点よりも有意に高かった。【結論】初回外来受診までの期間には、ISRでは便の貯留や保持、我慢が難しいなどの排便障害があり、LARでは排便のリズムや残便感などの知覚の変化による苦痛が明らかになった。術式により、排便回数、便貯留機能、肛門収縮機能、知覚機能などの変化に伴う症状を把握しつつ相談にのる工夫が必要である。
ISSN:1882-0115
2434-3056
DOI:10.32158/jsscr.38.3_154