房室結節4重伝導路を有しvery slow pathwayが頻拍誘発に関与した房室結節リエントリー性頻拍の1例

症例は47歳女性.32歳頃より動悸発作を自覚し,2012年に発作性上室性頻拍(PSVT)と診断され,2014年に電気生理学的検査・高周波アブレーションを施行した.室房伝導および房室伝導は減衰伝導特性を認め,室房伝導は房室結節単伝導路と診断した.一方,心房期外刺激では3回のjump-up現象を認め,房室伝導は房室結節4重伝導路と診断した.頻拍は容易に生じ,頻拍周期は544 msと長く,AH間隔は514 ms,HA間隔は30 msであった.頻拍中の最早期心房興奮部位はヒス束カテーテルであり,”slow”/fast型の房室結節リエントリー性頻拍(AVNRT)と診断した.頻拍は3回目のjump-upの...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inShinzo Vol. 49; no. 1; pp. 32 - 37
Main Authors 西村, 卓郎, 潮平, 親哉, 吉竹, 貴克, 白井, 康大, 前田, 真吾, 佐々木, 毅, 川端, 美穂子, 笹野, 哲郎, 合屋, 雅彦, 磯部, 光章, 平尾, 見三
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 15.01.2017
日本心臓財団・日本循環器学会
Japan Heart Foundation
Subjects
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:症例は47歳女性.32歳頃より動悸発作を自覚し,2012年に発作性上室性頻拍(PSVT)と診断され,2014年に電気生理学的検査・高周波アブレーションを施行した.室房伝導および房室伝導は減衰伝導特性を認め,室房伝導は房室結節単伝導路と診断した.一方,心房期外刺激では3回のjump-up現象を認め,房室伝導は房室結節4重伝導路と診断した.頻拍は容易に生じ,頻拍周期は544 msと長く,AH間隔は514 ms,HA間隔は30 msであった.頻拍中の最早期心房興奮部位はヒス束カテーテルであり,”slow”/fast型の房室結節リエントリー性頻拍(AVNRT)と診断した.頻拍は3回目のjump-upの後(very slow pathwayとする)のみに誘発可能であり,この頻拍中に単発の心房期外刺激を加えるとfast pathwayとvery slow pathwayを順伝導する心室二重応答が再現性をもって観察され,その後も頻拍は持続した.Aspを指標にslow pathway ablationを行い,以降頻拍は誘発不能となった.通電後はdual pathwayが残存したが,very slow pathwayは消失していた.伝導時間が非常に長いslow pathwayの存在が頻拍の誘発・維持に関与した興味深い症例であり,アブレーションの結果から4重伝導路の解剖学的距離を検討し得たため報告する.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.49.32