非結核性抗酸菌の併存が肺結核診療に及ぼす影響

〔背景〕肺結核治療中に喀痰から非結核性抗酸菌(Nontuberculous mycobacteria: NTM)はしばしば検出される。しかし,感染とコンタミネーション,コロナイゼーションの鑑別は困難である。〔目的〕肺結核治療中にNTMが併存した症例の臨床的特徴,病原性の有無,併存が結核診療に与える影響を検討した。〔対象と方法〕2013年1月から2013年12月の期間に当院で治療された肺結核患者59例を対象とし,経過中にNTMが1回以上培養された19例を併存群,NTMが確認されなかった40例を非併存群として臨床的特徴を後方視的に検討した。また,NTM併存群の18例に抗glycopeptidoli...

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Published in結核 Vol. 90; no. 8; pp. 607 - 612
Main Authors 吉川, 弥須子, 小川, 佳亮, 沼尾, 利郎, 勝部, 乙大, 野村, 由至, 森田, 弘子, 長谷, 衣佐乃, 滝澤, 秀典
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本結核病学会 2015
日本結核病学会
Subjects
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ISSN0022-9776
1884-2410
DOI10.11400/kekkaku.90.607

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Summary:〔背景〕肺結核治療中に喀痰から非結核性抗酸菌(Nontuberculous mycobacteria: NTM)はしばしば検出される。しかし,感染とコンタミネーション,コロナイゼーションの鑑別は困難である。〔目的〕肺結核治療中にNTMが併存した症例の臨床的特徴,病原性の有無,併存が結核診療に与える影響を検討した。〔対象と方法〕2013年1月から2013年12月の期間に当院で治療された肺結核患者59例を対象とし,経過中にNTMが1回以上培養された19例を併存群,NTMが確認されなかった40例を非併存群として臨床的特徴を後方視的に検討した。また,NTM併存群の18例に抗glycopeptidolipid(GPL)core IgA抗体の測定を行った。〔結果〕年齢,性別,基礎疾患の有無,陳旧性肺結核の有無,肺疾患の有無,画像所見,入院時の排菌量では両群に有意差は認めなかった。平均入院期間は入院中にNTMの併存を確認した群で98.8±7.9日,非併存群で58.3±3.5日と有意差を認めた。(p<0.001)。NTM併存群のうち18例で抗GPL core IgA抗体を測定したが,肺NTM症の診断基準を満たす13例を含め全例が陰性であった。〔結論〕結核治療中に併存したNTMは,コロナイゼーションやコンタミネーションである可能性が高い。しかし,入院期間延長に関連することが示唆された。
ISSN:0022-9776
1884-2410
DOI:10.11400/kekkaku.90.607