外国人肺結核の治療成績と背景因子の検討
〔目的〕外国人肺結核の治療成績を改善するため,治療成績と背景因子の分析評価を行った。〔方法〕2006~2011年に大阪市の新登録外国人肺結核患者159例を対象とした。治療成功群と脱落中断群の背景,および国内治療群と国外転出群の背景についてそれぞれ比較検討した。治療成績について,20~30歳代を抽出し,2010~2011年新登録の日本人肺結核患者と比較検討した。〔結果〕①治療成績:治癒53例(33.3%),治療完了55例(34.6%),治療失敗0例(0.0%),脱落中断14例(8.8%),国外転出17例(10.7%),国内転出13例(8.2%),死亡6例(3.8%),治療中1例(0.6%)であっ...
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Published in | 結核 Vol. 90; no. 3; pp. 387 - 393 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本結核病学会
2015
日本結核病学会 |
Subjects | |
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ISSN | 0022-9776 1884-2410 |
DOI | 10.11400/kekkaku.90.387 |
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Summary: | 〔目的〕外国人肺結核の治療成績を改善するため,治療成績と背景因子の分析評価を行った。〔方法〕2006~2011年に大阪市の新登録外国人肺結核患者159例を対象とした。治療成功群と脱落中断群の背景,および国内治療群と国外転出群の背景についてそれぞれ比較検討した。治療成績について,20~30歳代を抽出し,2010~2011年新登録の日本人肺結核患者と比較検討した。〔結果〕①治療成績:治癒53例(33.3%),治療完了55例(34.6%),治療失敗0例(0.0%),脱落中断14例(8.8%),国外転出17例(10.7%),国内転出13例(8.2%),死亡6例(3.8%),治療中1例(0.6%)であった。②治療成功群と脱落中断群の比較:脱落中断は,喀痰塗抹陽性48例では1例(2.1%)であったが,喀痰塗抹陰性69例では10例(14.5%)と,喀痰塗抹陰性例で脱落中断率が有意に高かった(P<0.05)。③国内治療群と国外転出群の比較:国外転出率は,有保険生活保護134例中12例(9.0%)であったが,無保険9例中4例(44.4%)と,無保険例で有意に高かった(P<0.01)。④外国人肺結核患者と日本人肺結核患者の治療成績の比較(20~30歳代):脱落中断率は,外国人13.6%,日本人4.0%と,外国人で有意に高かった(P<0.01)。転出率は,外国人19.1%,日本人5.3%と外国人で有意に高かった(P<0.001)。〔考察〕20~30歳代において,脱落中断,転出は外国人で有意に高かったため,背景因子を考慮した患者支援・服薬支援の充実が必要と考えられた。国外転出は最終的な治療成績の把握が困難な状況であり,治療中断の可能性を考慮し,確実な治療成功へとつなげるための対策が必要と考えられた。 |
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ISSN: | 0022-9776 1884-2410 |
DOI: | 10.11400/kekkaku.90.387 |