胃癌根治術後10年経過後に生体肝移植を施行し,早期腹膜播種再発を来した1例

「I. 緒言」肝移植は末期肝不全症例に対する唯一の根本的治療法であり, 手術手技や免疫抑制療法を含めた周術期管理の進歩により, 治療成績が向上している. また移植適応拡大の歴史を経て今日に至っており, 症例数が増加するにつれ, 当然悪性腫瘍の治療歴のある症例に遭遇する機会も増加しているものと思われる. 肝細胞癌に対する治療として行われる肝移植の場合を除いて, 一般に悪性腫瘍の治療既往がある患者への臓器移植は, 完全に治癒していると判断した場合には適応とされている. 肝細胞癌に対する肝移植では移植後肝細胞癌再発が問題となっているが, そのほかの場合の移植後の免疫抑制療法下でも悪性腫瘍発生のリスク...

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Published inJapanese Journal of Transplantation Vol. 53; no. 2-3; pp. 209 - 213
Main Authors 大坂, 雅史, 増田, 康史, 昇, 修治, 牛込, 秀隆, 中村, 緑佐, 落合, 登志哉, 松山, 剛久, 飯田, 拓, 原田, 俊平, 吉村, 了勇
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2018
日本移植学会
The Japan Society for Transplantation
Subjects
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ISSN0578-7947
2188-0034
DOI10.11386/jst.53.2-3_209

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Summary:「I. 緒言」肝移植は末期肝不全症例に対する唯一の根本的治療法であり, 手術手技や免疫抑制療法を含めた周術期管理の進歩により, 治療成績が向上している. また移植適応拡大の歴史を経て今日に至っており, 症例数が増加するにつれ, 当然悪性腫瘍の治療歴のある症例に遭遇する機会も増加しているものと思われる. 肝細胞癌に対する治療として行われる肝移植の場合を除いて, 一般に悪性腫瘍の治療既往がある患者への臓器移植は, 完全に治癒していると判断した場合には適応とされている. 肝細胞癌に対する肝移植では移植後肝細胞癌再発が問題となっているが, そのほかの場合の移植後の免疫抑制療法下でも悪性腫瘍発生のリスクが高まることが知られており, de novo 悪性腫瘍の発生に留意しなければならない.
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.53.2-3_209