早期療育施設併設の小児歯科から矯正歯科を紹介した障害児の実態調査

身体障害児や知的能力障害児(以下,患児)は不正咬合を有することが多い.この不正咬合を改善することにより,口腔機能や審美的な向上が得られ,う蝕や歯周病などの歯科疾患の予防につながる.われわれはA市の早期療育施設内小児歯科(以下,センター歯科)において,矯正歯科専門医による歯並び相談を行い,治療可能と判断された患児を矯正歯科へ紹介している.そこで今回,センター歯科から矯正歯科へ紹介した患児の実態調査を行ったので報告する.平成10~23年の間に,センター歯科から矯正歯科を紹介した患児25名を対象とし,治療の進行状況と矯正治療に対する感想,良かった点,困難であった点,悪かった点について質問紙法により調...

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Published in日本障害者歯科学会雑誌 Vol. 38; no. 4; pp. 497 - 503
Main Authors 図師, 良枝, 荒木, 麻美, 後藤, 滋巳, 福田, 理, 堀部, 森崇, 三浦, 清邦, 溝口, 理知子, 藤原, 琢也, 髙橋, 脩, 名和, 弘幸, 稲垣, 絹世, 樋田, 真由, 藤井, 美樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本障害者歯科学会 2017
日本障害者歯科学会
The Japanese Society for Disability and Oral Health
Subjects
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ISSN0913-1663
2188-9708
DOI10.14958/jjsdh.38.497

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Summary:身体障害児や知的能力障害児(以下,患児)は不正咬合を有することが多い.この不正咬合を改善することにより,口腔機能や審美的な向上が得られ,う蝕や歯周病などの歯科疾患の予防につながる.われわれはA市の早期療育施設内小児歯科(以下,センター歯科)において,矯正歯科専門医による歯並び相談を行い,治療可能と判断された患児を矯正歯科へ紹介している.そこで今回,センター歯科から矯正歯科へ紹介した患児の実態調査を行ったので報告する.平成10~23年の間に,センター歯科から矯正歯科を紹介した患児25名を対象とし,治療の進行状況と矯正治療に対する感想,良かった点,困難であった点,悪かった点について質問紙法により調査した.調査用紙の回収率は18/25名(72.0%)で,矯正歯科を受診した患児のうち16名が矯正歯科治療を開始していた.矯正歯科治療を開始できた群の精神年齢の平均は7歳11カ月であった.矯正歯科治療をして良かった点への回答は「歯磨きがしやすくなった」など,困難であった点は「装置装着や口腔清掃が困難」などがあり,悪かった点についての回答はなかった.歯科環境への適応が良好で,精神年齢が7歳11カ月程度であることが,矯正歯科治療の開始時期を考慮する際の参考になると考えられた.また,不正咬合の改善は障害児者のQOL向上の一助となる可能性が示唆された.
ISSN:0913-1663
2188-9708
DOI:10.14958/jjsdh.38.497