データ駆動型研究によるタンパク質のダイナミクスと進化の普遍的法則

「1. 序論」タンパク質は生細胞内のダイナミックな分子であり, その天然構造(ネイティブ構造)は, 遺伝子によって決定されたアミノ酸配列によって主に形成され, 遺伝型と表現型の間の複雑なリンクに関与する, 構造生物学の中心的な課題である. 天然変性タンパク質は, タンパク質の折り畳みに関する従来の見解に挑戦してきたが, この総説では, 天然構造を持つタンパク質(球状タンパク質と膜タンパク質)のみを対象としている. これらのタンパク質は外部環境の変化に敏感であり, 金属イオンや他の生体分子のようなシグナルを検出して反応するために重要な構造変化を引き起こす可能性がある. 一方で, タンパク質のアミ...

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Published in生物物理 Vol. 64; no. 6; pp. 291 - 294
Main Author 唐, 乾元
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本生物物理学会 2024
日本生物物理学会
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ISSN0582-4052
1347-4219
DOI10.2142/biophys.64.291

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Summary:「1. 序論」タンパク質は生細胞内のダイナミックな分子であり, その天然構造(ネイティブ構造)は, 遺伝子によって決定されたアミノ酸配列によって主に形成され, 遺伝型と表現型の間の複雑なリンクに関与する, 構造生物学の中心的な課題である. 天然変性タンパク質は, タンパク質の折り畳みに関する従来の見解に挑戦してきたが, この総説では, 天然構造を持つタンパク質(球状タンパク質と膜タンパク質)のみを対象としている. これらのタンパク質は外部環境の変化に敏感であり, 金属イオンや他の生体分子のようなシグナルを検出して反応するために重要な構造変化を引き起こす可能性がある. 一方で, タンパク質のアミノ酸残基をコードする遺伝子配列に突然変異が起きることがある. このような変異は, 天然構造とそれに対応する動きを変化させ, 生物学的機能に影響を与える可能性がある. しかし, タンパク質はさまざまなアミノ酸の置換に耐える顕著な能力を示し, その熱力学的安定性と折り畳み経路を維持し, 突然変異に対する頑健性を補強している.
ISSN:0582-4052
1347-4219
DOI:10.2142/biophys.64.291