間葉系幹細胞の分化制御を目指した培養基板の設計
「1. はじめに」 機能的な細胞・組織・器官を生体外で再構成する技術は, 再生医療において疾病を根本から治療する原因療法の基礎を支える要素技術である. 間葉系幹細胞(Mesenchymal stem cell; MSC)は, 骨格筋や骨, 脂肪などの間葉組織を構成する細胞の他, 血管内皮細胞や神経細胞など多様な細胞に特殊化, 機能化する分化能を有するため, 再生医療における有力な細胞供給源として期待されている. しかしながら, MSCの細胞集団において, 分化能をはじめとした治療有効性と深く関わる性質にばらつきがあることがMSCを理解し医療の現場で役立てるアプローチの課題となっている. MSC...
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Published in | 生物物理 Vol. 61; no. 6; pp. 389 - 391 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本生物物理学会
2021
日本生物物理学会 |
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Summary: | 「1. はじめに」 機能的な細胞・組織・器官を生体外で再構成する技術は, 再生医療において疾病を根本から治療する原因療法の基礎を支える要素技術である. 間葉系幹細胞(Mesenchymal stem cell; MSC)は, 骨格筋や骨, 脂肪などの間葉組織を構成する細胞の他, 血管内皮細胞や神経細胞など多様な細胞に特殊化, 機能化する分化能を有するため, 再生医療における有力な細胞供給源として期待されている. しかしながら, MSCの細胞集団において, 分化能をはじめとした治療有効性と深く関わる性質にばらつきがあることがMSCを理解し医療の現場で役立てるアプローチの課題となっている. MSCの性質はドナーや由来組織により異なり, さらにこれらの先天的な要因の他, 培養条件や継代数によっても容易に変化する. 本稿では, MSCの不均一性をもたらす要因のうち培養条件, 特に培養基板の剛性に焦点を当て, 基板剛性に対するMSCの応答特性についてのこれまでの報告を紹介するとともに, MSCの分化制御を目指した取り組みについてわたしたちが得た知見を交えて解説する. |
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ISSN: | 0582-4052 1347-4219 |
DOI: | 10.2142/biophys.61.389 |