データ駆動による抗体デザインの最先端

「1. はじめに:従来の抗体最適化設計における課題」抗体(イムノグロブリン)は4本のポリペプチド鎖から構成され, 定常領域と可変領域を持つ. ヒトでは5種類のクラス(IgG, IgM, IgA, IgD, IgE)に分類されるが, 以降では最も一般的なIgGについて述べる. IgGはY字型構造を持つ150kDaの分子である. Fab領域とFc領域に分けられ, Fab領域の可変領域(VH, VL)が抗原結合部位を形成する. 各領域には3か所の相補性決定領域(CDR: Complementary Determining Region)があり, 特にCDR-H3は抗原結合に重要で多様性に富む. 生体...

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Published in生物物理 Vol. 64; no. 6; pp. 309 - 312
Main Authors 松長, 遼, 津本, 浩平
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本生物物理学会 2024
日本生物物理学会
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ISSN0582-4052
1347-4219
DOI10.2142/biophys.64.309

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Summary:「1. はじめに:従来の抗体最適化設計における課題」抗体(イムノグロブリン)は4本のポリペプチド鎖から構成され, 定常領域と可変領域を持つ. ヒトでは5種類のクラス(IgG, IgM, IgA, IgD, IgE)に分類されるが, 以降では最も一般的なIgGについて述べる. IgGはY字型構造を持つ150kDaの分子である. Fab領域とFc領域に分けられ, Fab領域の可変領域(VH, VL)が抗原結合部位を形成する. 各領域には3か所の相補性決定領域(CDR: Complementary Determining Region)があり, 特にCDR-H3は抗原結合に重要で多様性に富む. 生体内の抗体産生細胞のレパートリーは理論上1011種類に達し, 親和性成熟のプロセスでさらに多様性は増加する. 従来の抗体取得法では, ハイブリドーマ技術などを用いた抗体産生細胞の単離, 配列解析, スクリーニングなどの煩雑な手順により, リード候補の同定に時間を要する.
ISSN:0582-4052
1347-4219
DOI:10.2142/biophys.64.309