急性期病院における臓器提供の意思確認を実施するための終末期医療の質改善を目的とした教育プログラムの開発と評価

「I. 背景」わが国の移植待機者数は, 1万人を超えているが, 年間の臓器提供者は100人未満であり, 人口100万対の臓器提供数は1以下と諸外国と比較しても少なく, 待機期間が長期化し, 臓器提供を受ける前に死亡する者も少なくない. 世論調査では自分の死後に臓器提供をしたいとの回答が4割を超えており, 臓器提供者が少ない原因としては, 病院における意思確認から臓器提供の実施への過程にあることが推察される. 現在までに, 臓器提供数を増加させるための標準的な手法として, ベルギーで開発された総合的質管理手法であるDonor Action Program, スペインで開発された実践的なドナーコー...

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Published in移植 Vol. 52; no. 4-5; pp. 346 - 351
Main Authors 瀬戸, 加奈子, 松本, 邦愛, 高橋, 絹代, 藤田, 民夫, 高原, 史郎, 相川, 厚, 篠崎, 尚史, 長谷川, 友紀
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2017
日本移植学会
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Summary:「I. 背景」わが国の移植待機者数は, 1万人を超えているが, 年間の臓器提供者は100人未満であり, 人口100万対の臓器提供数は1以下と諸外国と比較しても少なく, 待機期間が長期化し, 臓器提供を受ける前に死亡する者も少なくない. 世論調査では自分の死後に臓器提供をしたいとの回答が4割を超えており, 臓器提供者が少ない原因としては, 病院における意思確認から臓器提供の実施への過程にあることが推察される. 現在までに, 臓器提供数を増加させるための標準的な手法として, ベルギーで開発された総合的質管理手法であるDonor Action Program, スペインで開発された実践的なドナーコーディネーターの教育プログラムであるTransplant Procurement Managementが紹介されたものの, 限定的な導入に留まっている. 現状の臓器提供数の低迷は, 臓器提供ができる病院における患者・家族の終末期の病状の評価, 意思確認を実施する仕組みの未確立によるものと推察される.
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.52.4-5_346