当院で経験したUS-3500における尿糖異常発色フラグについての検討

尿試験紙による尿定性検査は,目視法と尿自動分析装置による装置判定法があり,装置判定は濃度判定と同時に異常発色の判定を行う付加機能も有している。今回我々は,全自動尿分析装置US-3500を用いた尿糖の測定で異常発色フラグが表示されたが,目視判定では異常発色を認めない検体を複数経験し,乖離原因の検討を行った。尿糖定量値との比較や数種類のLotの試験紙を用いた測定を行った結果,異常は確認されなかったことから,US-3500の尿糖異常発色識別基準に疑問を抱き,メーカーに検討を依頼した。測定で得られた反射率から演算した指数を異常発色識別基準に当てはめたプロット図を作成した結果,識別ライン付近に分布してい...

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Published in医学検査 Vol. 71; no. 3; pp. 436 - 442
Main Authors 小幡, 奏子, 馬渕, 邦子, 石橋, 直美, 絹田, 陽子, 赤石, 優
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会 25.07.2022
日本臨床衛生検査技師会
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Summary:尿試験紙による尿定性検査は,目視法と尿自動分析装置による装置判定法があり,装置判定は濃度判定と同時に異常発色の判定を行う付加機能も有している。今回我々は,全自動尿分析装置US-3500を用いた尿糖の測定で異常発色フラグが表示されたが,目視判定では異常発色を認めない検体を複数経験し,乖離原因の検討を行った。尿糖定量値との比較や数種類のLotの試験紙を用いた測定を行った結果,異常は確認されなかったことから,US-3500の尿糖異常発色識別基準に疑問を抱き,メーカーに検討を依頼した。測定で得られた反射率から演算した指数を異常発色識別基準に当てはめたプロット図を作成した結果,識別ライン付近に分布している検体が複数あり,異常発色フラグが表示されやすい設定になっていたことが判明した。本検討を契機に,メーカーによるUS-3500の装置パラメーターの改良が行われた。パラメーター変更後は,異常発色と誤判定される検体は大幅に減少し,より精度の高い装置判定結果が得られるようになった。
ISSN:0915-8669
2188-5346
DOI:10.14932/jamt.21-110