小児生体肝移植後に両側乳腺に多発した線維腺腫の1例

「I. はじめに」乳腺線維腺腫は良性の境界明瞭な充実性腫瘤で, 好発年齢は15歳から35歳とされる. 鑑別診断には葉状腫瘍や充実腺管がん, 粘液がんなどが挙げられ, 組織学的に葉状腫瘍との鑑別が容易ではない. 線維腺腫は2-3cmの大きさになると増大が止まるといわれており, 3cmを超えるものや増大速度の速いものは葉状腫瘍を否定できないため切除するのが一般的である. 腎移植後に免疫抑制剤としてcyclosporin (CsA) を使用した症例で線維腺腫が発生することがこれまで報告されてきたが, 肝移植後での報告例は検索しうる限りない. 今回われわれは, 生体肝移植後に両側多発乳腺線維腺腫を発症...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in移植 Vol. 51; no. 2-3; pp. 222 - 227
Main Authors 田中, 夏美, 上野, 豪久, 児玉, 匡, 高間, 勇一, 田附, 裕子, 奥山, 宏臣
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2016
日本移植学会
Subjects
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:「I. はじめに」乳腺線維腺腫は良性の境界明瞭な充実性腫瘤で, 好発年齢は15歳から35歳とされる. 鑑別診断には葉状腫瘍や充実腺管がん, 粘液がんなどが挙げられ, 組織学的に葉状腫瘍との鑑別が容易ではない. 線維腺腫は2-3cmの大きさになると増大が止まるといわれており, 3cmを超えるものや増大速度の速いものは葉状腫瘍を否定できないため切除するのが一般的である. 腎移植後に免疫抑制剤としてcyclosporin (CsA) を使用した症例で線維腺腫が発生することがこれまで報告されてきたが, 肝移植後での報告例は検索しうる限りない. 今回われわれは, 生体肝移植後に両側多発乳腺線維腺腫を発症した症例を経験したので報告する. 「II. 症例」患者 : 16歳, 女性 現病歴 : 1歳6カ月時から自己免疫性肝炎と潰瘍性大腸炎に対して加療中であったが, 肝硬変進行に伴う門脈圧亢進症が悪化して吐血を繰り返すため肝移植適応となった.
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.51.2-3_222