皮膚組織グラム染色により莢膜形成を確認した播種性クリプトコッカス症の1症例
Cryptococcus neoformansによる播種性クリプトコッカス症を一例経験したので報告する。症例81歳男性,水疱性類天疱瘡に対してステロイド内服加療中,潰瘍を伴う紅色結節性病巣が出現し,病巣部組織検体グラム染色により莢膜様染色像を伴った酵母様真菌を認め,同組織を培養しC. neoformansを検出した。既報皮膚クリプトコッカス症症例報告において,グラム染色にて菌体確認困難であった一因として,C. neoformansは皮膚組織中の真皮層で増殖することに起因すると推察し,標本作成時にスライドガラスを用いたすり合わせ塗抹法を実施した。簡便な手法により組織を破砕し作製した標本において,...
Saved in:
Published in | Japanese Journal of Medical Technology Vol. 65; no. 5; pp. 589 - 594 |
---|---|
Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
25.09.2016
日本臨床衛生検査技師会 Japanese Association of Medical Technologists |
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0915-8669 2188-5346 |
DOI | 10.14932/jamt.16-1 |
Cover
Summary: | Cryptococcus neoformansによる播種性クリプトコッカス症を一例経験したので報告する。症例81歳男性,水疱性類天疱瘡に対してステロイド内服加療中,潰瘍を伴う紅色結節性病巣が出現し,病巣部組織検体グラム染色により莢膜様染色像を伴った酵母様真菌を認め,同組織を培養しC. neoformansを検出した。既報皮膚クリプトコッカス症症例報告において,グラム染色にて菌体確認困難であった一因として,C. neoformansは皮膚組織中の真皮層で増殖することに起因すると推察し,標本作成時にスライドガラスを用いたすり合わせ塗抹法を実施した。簡便な手法により組織を破砕し作製した標本において,グラム染色により菌体及び莢膜を明瞭に染色可能であった。グラム染色では加温による莢膜熱変性と推察されるハロー状染色性減衰現象を検証実験により確認した。本症例は病理組織及び微生物学的所見にて菌体を証明し,血清クリプトコッカス抗原が陽性であったので,播種性クリプトコッカス症と診断した。播種性クリプトコッカス症は比較的稀な症例であるが,予後不良であるため原発病巣の確認,向中枢神経傾向が強く髄液及び血液の微生物検査,全身播種病巣の検索を積極的に行う必要がある。 |
---|---|
ISSN: | 0915-8669 2188-5346 |
DOI: | 10.14932/jamt.16-1 |