酵母における遺伝子スイッチ進化工学ワークフローの「ロバスト化」

「1. はじめに」遺伝子発現をON・OFF制御する「遺伝子スイッチ」は, 生物機能の人工的な再現, あるいは全く新しい生命機能の創出のどちらにおいても必須であり, その制御自由度は生命工学の自由度に直結する. それゆえに, 高い制御性能を示す遺伝子スイッチの開発は合成生物学研究における最重要課題の一つであり, 合成生物学研究の進展にともなって必要な制御性能は高くなる一方である. 実際にバクテリアでは, 転写・翻訳の両段階において遺伝子の発現を制御する数多くの遺伝子スイッチが開発されてきた. 一方, 真核生物の酵母では, 人工のプロモータを利用した転写レベルの発現制御を中心に工学が進められてきた...

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Published in生物物理 Vol. 64; no. 3; pp. 144 - 146
Main Authors 近藤, 昭彦, 石井, 純, 冨永, 将大
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本生物物理学会 2024
日本生物物理学会
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ISSN0582-4052
1347-4219
DOI10.2142/biophys.64.144

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Summary:「1. はじめに」遺伝子発現をON・OFF制御する「遺伝子スイッチ」は, 生物機能の人工的な再現, あるいは全く新しい生命機能の創出のどちらにおいても必須であり, その制御自由度は生命工学の自由度に直結する. それゆえに, 高い制御性能を示す遺伝子スイッチの開発は合成生物学研究における最重要課題の一つであり, 合成生物学研究の進展にともなって必要な制御性能は高くなる一方である. 実際にバクテリアでは, 転写・翻訳の両段階において遺伝子の発現を制御する数多くの遺伝子スイッチが開発されてきた. 一方, 真核生物の酵母では, 人工のプロモータを利用した転写レベルの発現制御を中心に工学が進められてきたものの, 転写機構の複雑さゆえに狙った通りの制御は難しく, 限られた数の「よく知られた」誘導プロモータが頻繁に使用される状況であった. 本稿では, 酵母遺伝子スイッチを歩留まり良く改良・改質するために必要な進化工学技術について, われわれの最近の研究を中心に紹介する.
ISSN:0582-4052
1347-4219
DOI:10.2142/biophys.64.144