内耳ひずみの模索

内耳ひずみについては全く模索の段階で, 原著になるか未完成で終わるか予測できないので, 今回は研究の意図, 方法などについて私の考えを述べるに止める. 感音難聴は蝸牛の障害だけでなく大脳機能が関与するが, それは複雑なので, 大脳機能は正常として内耳機能障害に限定して研究を進めることにした. 内耳性難聴の異常現象としては域値上昇の他, ことばの明瞭さの低下, 分解能の悪さ, 周波数やラウドネスの不連続などがわかっているに過ぎない. これらの諸現象を生ずる内耳の病態を解明できれば, その対策も考えられ, ことばの明瞭さの向上に役立つかもしれない. まず, 内耳の異常聴覚がどのような原因で生ずるか...

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Published inAUDIOLOGY JAPAN Vol. 50; no. 2; pp. 163 - 164
Main Authors 大和田, 健次郎, 園部, 紀子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本聴覚医学会 2007
日本聴覚医学会
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ISSN0303-8106
1883-7301
DOI10.4295/audiology.50.163

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Summary:内耳ひずみについては全く模索の段階で, 原著になるか未完成で終わるか予測できないので, 今回は研究の意図, 方法などについて私の考えを述べるに止める. 感音難聴は蝸牛の障害だけでなく大脳機能が関与するが, それは複雑なので, 大脳機能は正常として内耳機能障害に限定して研究を進めることにした. 内耳性難聴の異常現象としては域値上昇の他, ことばの明瞭さの低下, 分解能の悪さ, 周波数やラウドネスの不連続などがわかっているに過ぎない. これらの諸現象を生ずる内耳の病態を解明できれば, その対策も考えられ, ことばの明瞭さの向上に役立つかもしれない. まず, 内耳の異常聴覚がどのような原因で生ずるかを一つの仮定の元に考えてみる. 感音難聴を内耳の有毛細胞の異常とする. 細胞は生きていれば何かの信号を中枢に送っているに違いない. 静止電位として規則正しいパルスか発射されていると考える. この発生状態の異常が病的聴覚の原因と仮定する. 細胞から発生している規則正しいパルスでは音感覚は生じないが, パルスが乱れると音として感ずる.
ISSN:0303-8106
1883-7301
DOI:10.4295/audiology.50.163