カテキンジェルが障害者のプラークコントロールレコードおよび口腔細菌に及ぼす影響
う蝕や歯周病は口腔病原菌に起因する感染症である.歯垢はこれら原因菌の存在場所であることから,予防には歯垢の除去,すなわちプラークコントロールが必須となる.今回われわれは,電動歯ブラシによるカテキンジェル塗布が障害者のプラークコントロールレコード(PCR)に及ぼす効果について検討を行った.さらにカテキンジェルが唾液中の口腔細菌数に与える影響についても検討を加えた.某地域歯科医師会の障害者歯科診療所に通院し,本研究に賛同したメインテナンス中の患者15人を対象とした.試験期間は4週間,歯垢除去には電動歯ブラシを使用し,カテキンジェルを1日1回口腔内塗布してプラークの付着状態(PCR)を評価し,プラセ...
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Published in | 日本障害者歯科学会雑誌 Vol. 38; no. 2; pp. 148 - 153 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本障害者歯科学会
2017
日本障害者歯科学会 The Japanese Society for Disability and Oral Health |
Subjects | |
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ISSN | 0913-1663 2188-9708 |
DOI | 10.14958/jjsdh.38.148 |
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Summary: | う蝕や歯周病は口腔病原菌に起因する感染症である.歯垢はこれら原因菌の存在場所であることから,予防には歯垢の除去,すなわちプラークコントロールが必須となる.今回われわれは,電動歯ブラシによるカテキンジェル塗布が障害者のプラークコントロールレコード(PCR)に及ぼす効果について検討を行った.さらにカテキンジェルが唾液中の口腔細菌数に与える影響についても検討を加えた.某地域歯科医師会の障害者歯科診療所に通院し,本研究に賛同したメインテナンス中の患者15人を対象とした.試験期間は4週間,歯垢除去には電動歯ブラシを使用し,カテキンジェルを1日1回口腔内塗布してプラークの付着状態(PCR)を評価し,プラセボジェルの結果と比較した.さらに被験者から唾液を採取してDNAを抽出し,real-time PCR法にて唾液中の菌数を算定した.カテキンジェル塗布前および塗布4週間後のPCRはそれぞれ62.8±22.7および63.7±20.1%とほとんど変化はみられなかった.一方,real-time PCR法の結果から,総菌数および口腔の正常化に関わる総レンサ球菌群数に変化はみられなかったが,う蝕原因菌や歯周病原菌に影響を与える可能性がみられ,特に歯周病原菌のTreponema denticola菌数は有意に減少した.カテキンジェルは障害者のプラークの付着範囲に影響を及ぼさなかったが,唾液中の一部の歯周病原菌数を減少したことから,障害者の口腔ケアに有用である可能性が示された. |
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ISSN: | 0913-1663 2188-9708 |
DOI: | 10.14958/jjsdh.38.148 |