心嚢液検体にて形質芽細胞性リンパ腫と考えられた1例

背景:形質芽細胞性リンパ腫(plasmablastic lymphoma; PBL)は,HIV感染による免疫不全患者や高齢者に発生する稀な悪性リンパ腫である。今回,我々は心嚢液検体のセルブロック標本による免疫組織化学的検討においてPBLと考えられた症例を経験したので報告する。症例:80歳代,男性。左背部痛により当院救急外来受診。CTにて両側胸水と多量の心嚢液貯留を認めた。エコーガイド下に心嚢腔穿刺が行われ,心嚢液の細胞診が施行された。細胞診において中型~大型の異型細胞の増殖を認めた。クロマチンは粗大顆粒状でN/C大,明瞭な核小体,核のくびれも見られた。セルブロック標本の免疫組織化学的染色結果か...

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Published in医学検査 Vol. 70; no. 1; pp. 144 - 149
Main Authors 森, 将晏, 岡田, 睦博, 田中, 望美, 遠藤, 香, 細田, 優太
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会 25.01.2021
日本臨床衛生検査技師会
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ISSN0915-8669
2188-5346
DOI10.14932/jamt.20-30

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Summary:背景:形質芽細胞性リンパ腫(plasmablastic lymphoma; PBL)は,HIV感染による免疫不全患者や高齢者に発生する稀な悪性リンパ腫である。今回,我々は心嚢液検体のセルブロック標本による免疫組織化学的検討においてPBLと考えられた症例を経験したので報告する。症例:80歳代,男性。左背部痛により当院救急外来受診。CTにて両側胸水と多量の心嚢液貯留を認めた。エコーガイド下に心嚢腔穿刺が行われ,心嚢液の細胞診が施行された。細胞診において中型~大型の異型細胞の増殖を認めた。クロマチンは粗大顆粒状でN/C大,明瞭な核小体,核のくびれも見られた。セルブロック標本の免疫組織化学的染色結果から,原発性滲出液リンパ腫よりはPBLまたは骨髄腫が考えられた。その後行われた胸水細胞診は陰性であった。骨髄腫鑑別のため,骨髄穿刺実施も特記所見。Gaシンチ,PET-CTを実施するも腫瘍の局在は認められず。血清免疫電気泳動にて明らかなM蛋白は認められず。尿免疫電気泳動にてベンスジョーンズ蛋白は認められず。これらの結果から確定診断には至らなかったがPBLの可能性が最も考えられた。結論:心嚢液検体にてPBLと考えられた1例を経験した。画像診断にて腫瘍の局在を認めなかったため組織診は施行出来ず,細胞診とセルブロック標本における免疫組織化学的検討が診断に有用であった。体腔液細胞診でのセルブロック標本作成の重要性を再確認した。
ISSN:0915-8669
2188-5346
DOI:10.14932/jamt.20-30