ロボット支援手術を導入し維持していくためにチームでできること
ロボット支援手術は,2000年にlntuitive Surgical社(Sunnyvale, CA, USA)製の手術用ロボットdaVinci surgical system(以下daVinci)が米国FDAの認可を得て以来,世界中で積極的に導入されつつある革新的な手術方法である.本邦でのロボット支援前立腺全摘術(RARP)は2006年から始まったが,様々な理由から欧米や韓国に比べて普及が遅れた.2009年11月のdaVinci Sの薬事承認に伴い,2010年10月の第2項先進医療として承認されたことで徐々に普及し始めた.さらに2012年4月,前立腺悪性腫瘍手術の内視鏡手術用支援機器加算として...
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Published in | Japanese Journal of Endourology Vol. 27; no. 2; pp. 230 - 234 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本泌尿器内視鏡学会
01.09.2014
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ISSN | 2186-1889 2187-4700 |
DOI | 10.11302/jsejje.27.230 |
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Summary: | ロボット支援手術は,2000年にlntuitive Surgical社(Sunnyvale, CA, USA)製の手術用ロボットdaVinci surgical system(以下daVinci)が米国FDAの認可を得て以来,世界中で積極的に導入されつつある革新的な手術方法である.本邦でのロボット支援前立腺全摘術(RARP)は2006年から始まったが,様々な理由から欧米や韓国に比べて普及が遅れた.2009年11月のdaVinci Sの薬事承認に伴い,2010年10月の第2項先進医療として承認されたことで徐々に普及し始めた.さらに2012年4月,前立腺悪性腫瘍手術の内視鏡手術用支援機器加算として公的医療保険の適応を受けられるようになったことで急速に導入が進み2010年3月に5台であったdaVinciは2014年4月の時点で約180台が導入され,国別導入数では世界2位となった. RARPの周術期合併症発生率は開腹手術や腹腔鏡下手術と比べて低いとされる.また,daVinciの不具合は文献上0.2-2.6%とされている.しかし,ロボット支援手術で使用する機器やデバイス,鉗子類は従来の腹腔鏡下手術のものとは異なり,体位も25度〜30度の頭低位という非常に特殊なものである.そのため,ロボット手術特有のトラブルが存在する.術前にトラブルが発生した時は手術自体を中止,延期することもできるが,術中に発生した場合,多くは不具合を抱えながらも手術継続可能な場合があるが,続行不可能な場合は,開腹や腹腔鏡手術への変更が余儀なくされる. 今後,ロボット支援手術を従来の開放手術や腹腔鏡下手術と同様に普通の手術として安全に確実に施行していくためには執刀医や助手だけではなく,麻酔科医や看護師との密な連携をはかり,“チーム・ダヴィンチ”としてロボット支援手術特有のトラブルに対して対策を立て未然に回避していくことが大切である. |
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ISSN: | 2186-1889 2187-4700 |
DOI: | 10.11302/jsejje.27.230 |