小児尿路結石に対するPCNLの実際

現在, 各種ガイドラインでは経皮的腎砕石術 (percutaneous nephrolithotomy 以下PCNL) は大きな腎結石に対する治療の第一選択とされており, 小児尿路結石の治療においても重要な位置を占めている. 当院におけるPCNLの適応は, 各種ガイドラインを参考に, 患者の特性, 施設の機材や麻酔環境などを総合的に判断して決めているが, 概ね2cm以上の腎結石を適応としている. 小児では代謝性疾患や先天性尿路奇形を伴う症例の割合が大人に比して多く, 術前にこれらの評価を行っている. 基本的な手術手技は大人と変わらないが, 小児のPCNLの特徴として, 臓器が小さく組織も弾力性...

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Published inJapanese Journal of Endourology Vol. 30; no. 2; pp. 155 - 158
Main Authors 小松, 智徳, 石川, 智啓, 佐野, 優太, 絹川, 常郎, 辻, 克和, 鶴田, 勝久, 加藤, 隆, 湯口, 友梨, 木村, 亨
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本泌尿器内視鏡学会 01.09.2017
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ISSN2186-1889
2187-4700
DOI10.11302/jsejje.30.155

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Summary:現在, 各種ガイドラインでは経皮的腎砕石術 (percutaneous nephrolithotomy 以下PCNL) は大きな腎結石に対する治療の第一選択とされており, 小児尿路結石の治療においても重要な位置を占めている. 当院におけるPCNLの適応は, 各種ガイドラインを参考に, 患者の特性, 施設の機材や麻酔環境などを総合的に判断して決めているが, 概ね2cm以上の腎結石を適応としている. 小児では代謝性疾患や先天性尿路奇形を伴う症例の割合が大人に比して多く, 術前にこれらの評価を行っている. 基本的な手術手技は大人と変わらないが, 小児のPCNLの特徴として, 臓器が小さく組織も弾力性に富むことで, 腎瘻作成が困難である. その反面, 腎瘻が作成できると砕石自体は大人よりもやり易いことも多い. 以前は大人と同じ通常の腎盂鏡を用いていたためシース外径は太ったが, 現在は mini-PCNLを行っている. 当院では2002年から2016年までに0歳から15歳の患児12症例に対して14回のPCNLを施行しており, 手術時間の中央値は153分 (127-235). そのうち砕石時間の中央値は69分 (40-148) で, stone free rate (以下SFR) は73%であった. 術翌日のHb値変化の中央値 は−1.9g/dLで輸血例は無かった. シースの太さに関わらず重篤な出血や輸血例は無かったが, 合併症として発熱 (9例, 64%) と腎盂損傷 (2例, 14%) を認めた. シースが太くても合併症が増えることは無く, 腎実質の菲薄化を伴うなど, 症例によってはmini-PCNLにこだわる必要は無いと思われた. ただ腎瘻造設の拡張時には, 腎盂損傷に十分注意する必要がある. 治療回数や合併症を減らすためにも可能であればTULの併用は望ましいと思われ, 今後はPCNL単独の治療は減少すると予測される. しかし尿管鏡挿入不能例など, PCNL単独治療が必要な症例は一定数存在すると思われ, 今後も小児尿路結石の重要な治療の一つである.
ISSN:2186-1889
2187-4700
DOI:10.11302/jsejje.30.155