血小板製剤の頻回輸血により産生した抗cがABO血液型ウラ検査判定に影響した一症例

血小板製剤中の赤血球は微量であるため,血小板製剤の輸血(以下,血小板輸血)による不規則抗体産生の可能性は低いと考えられている。我々は,頻回な血小板輸血後に不規則抗体を産生した症例を経験した。症例は骨髄異形成症候群の女性。赤血球製剤の輸血歴はなく,不規則抗体スクリーニングは陰性であった。血小板成分の補充を目的として頻回な血小板輸血が実施され,約半年後にIgM型及びIgG型の抗E,抗cの産生を確認した。血小板製剤中の微量な赤血球であっても,免疫応答を引き起こす可能性を確認した。また,IgM型の抗cは,ABO血液型ウラ検査判定時に影響を与えた。血小板輸血後にIgM型を含む不規則抗体産生誘発の可能性が...

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Published in医学検査 Vol. 71; no. 1; pp. 171 - 175
Main Authors 矢萩, 裕一, 柳, 友美子, 坂田, 一美, 志村, 祥太, 鈴木, 周朔
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会 25.01.2022
日本臨床衛生検査技師会
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ISSN0915-8669
2188-5346
DOI10.14932/jamt.21-65

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Summary:血小板製剤中の赤血球は微量であるため,血小板製剤の輸血(以下,血小板輸血)による不規則抗体産生の可能性は低いと考えられている。我々は,頻回な血小板輸血後に不規則抗体を産生した症例を経験した。症例は骨髄異形成症候群の女性。赤血球製剤の輸血歴はなく,不規則抗体スクリーニングは陰性であった。血小板成分の補充を目的として頻回な血小板輸血が実施され,約半年後にIgM型及びIgG型の抗E,抗cの産生を確認した。血小板製剤中の微量な赤血球であっても,免疫応答を引き起こす可能性を確認した。また,IgM型の抗cは,ABO血液型ウラ検査判定時に影響を与えた。血小板輸血後にIgM型を含む不規則抗体産生誘発の可能性があることを考慮し,精査を進めることが重要である。
ISSN:0915-8669
2188-5346
DOI:10.14932/jamt.21-65