呼吸器疾患患者から分離されたAspergillus属菌の種類と抗真菌薬感受性―アスペルギルス属における抗真菌薬耐性の検討
近年,肺非結核性抗酸菌(NTM)症を背景として発症する慢性肺アスペルギルス症(CPA)の合併例が増加傾向にある。今回我々は,2012年から2016年の5年間に当院で分離したAspergillus属菌について,簡易同定法で同定した菌種の種類,およびこれらの抗真菌薬感受性を検討した。分離菌はA. fumigatusが102株(44.9%)と最も多く,次いでA. niger 66株(29.0%),A. flavus 21株(9.3%),Aspergillus属(同定不能)21株(9.3%),A. terreus 13株(5.8%)およびA. nidulans 4株(1.8%)であった。A. fumi...
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Published in | 医学検査 Vol. 74; no. 1; pp. 124 - 132 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
25.01.2025
日本臨床衛生検査技師会 |
Subjects | |
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ISSN | 0915-8669 2188-5346 |
DOI | 10.14932/jamt.24-11 |
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Summary: | 近年,肺非結核性抗酸菌(NTM)症を背景として発症する慢性肺アスペルギルス症(CPA)の合併例が増加傾向にある。今回我々は,2012年から2016年の5年間に当院で分離したAspergillus属菌について,簡易同定法で同定した菌種の種類,およびこれらの抗真菌薬感受性を検討した。分離菌はA. fumigatusが102株(44.9%)と最も多く,次いでA. niger 66株(29.0%),A. flavus 21株(9.3%),Aspergillus属(同定不能)21株(9.3%),A. terreus 13株(5.8%)およびA. nidulans 4株(1.8%)であった。A. fumigatusを分離した患者は70歳代高齢の男性に多く,同時に分離したNTMは,Mycobacterium aviumが多かった。一方,A. nigerを分離した患者は70歳代高齢の男女共に多く,M. aviumおよびM. intracellulareが多かった。これらを疾患別に見ると肺NTM症を背景にAspergillus属菌を分離している患者に多く認めた。抗真菌薬感受性は,ほとんどが良好な感受性を示したが,肺NTM症治療後にCPAを発症した患者で,ITCZおよびVRCZに耐性化したA. fumigatusの1例を経験した。その主な耐性機序はcyp51A遺伝子のM220の変異であった。アゾール系抗真菌薬の長期使用例では耐性株の出現を考慮し,定期的な感受性試験が必要と考えられた。 |
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ISSN: | 0915-8669 2188-5346 |
DOI: | 10.14932/jamt.24-11 |