原発性アルドステロン症術後の降圧薬内服中止に関連する臨床因子の検討

原発性アルドステロン症は,疾患特有のglomerular hyperfiltrationのため腎機能障害がマスクされており,アルドステロン拮抗薬(MRA)導入後や術後に腎機能障害が顕在化する.今回,術前にMRAを用いてHyperfiltrationを解除した後に腹腔鏡下副腎摘除術を受けた症例98例で, 術前の腎機能障害をeGFR別(eGFR≧90 ml/min/1.73m2:19例,60-89:49例, <60:30例) に分け,術後6ヶ月の時点での降圧薬内服中止に関する統計学的検討を行った. 降圧薬内服中止は, 術前eGFR≧90ml/min/1.73m2(14例):73.7 %, 術前eG...

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Published inJapanese Journal of Endourology Vol. 27; no. 1; pp. 221 - 227
Main Authors 川村, 幸治, 二瓶, 直樹, 柳澤, 充, 坂本, 信一, 市川, 智彦, 加賀, 麻祐子, 内海, 孝信, 納谷, 幸男, 鈴木, 啓悦, 今本, 敬
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本泌尿器内視鏡学会 01.04.2014
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ISSN2186-1889
2187-4700
DOI10.11302/jsejje.27.221

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Summary:原発性アルドステロン症は,疾患特有のglomerular hyperfiltrationのため腎機能障害がマスクされており,アルドステロン拮抗薬(MRA)導入後や術後に腎機能障害が顕在化する.今回,術前にMRAを用いてHyperfiltrationを解除した後に腹腔鏡下副腎摘除術を受けた症例98例で, 術前の腎機能障害をeGFR別(eGFR≧90 ml/min/1.73m2:19例,60-89:49例, <60:30例) に分け,術後6ヶ月の時点での降圧薬内服中止に関する統計学的検討を行った. 降圧薬内服中止は, 術前eGFR≧90ml/min/1.73m2(14例):73.7 %, 術前eGFR60-89(22例):44.9%,術前eGFR<60(7例):23.3%の症例で可能だった.多変量解析で高血圧罹患年数8年未満及び2種類以下の術前降圧薬内服が降圧薬内服中止の予測因子となった.術前eGFRは独立した予測因子になりえなかったが,これは腎機能障害と高血圧との間に強い相関があることが結果に影響していると考えられた.  外科的治療可能な疾患であっても,長期間高アルドステロン血症に暴露されている症例では高血圧の完治は困難であり,高血圧症例のスクリーニングにてPAを早期発見・早期治療することは非常に重要であると考えられた.
ISSN:2186-1889
2187-4700
DOI:10.11302/jsejje.27.221