Vibrio mimicus菌血症の一症例

Vibrio mimicusは食中毒の原因菌で,海水,海泥,魚介類に分布する。海産物の摂取後に胃腸炎・下痢を引き起こすことが知られているが通常は軽症である。今回,血液培養からV. mimicusが分離された症例を経験した。我々が調べた限り,V. mimicus菌血症の報告は5例目となる極めて稀な症例であった。84歳男性。午前中より腹部膨満感があり,かかりつけ医を受診された。その際の発熱は認めなかった。当日夜間に発熱,嘔吐,意識朦朧となっていることに家族が気づき当館に搬送された。CTで腸炎を疑われ血液培養2セット採取後,Ceftriaxone(CTRX)が投与された。翌日,血液培養陽性となりV....

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Published in医学検査 Vol. 73; no. 1; pp. 168 - 173
Main Authors 田口, 舜, 山口, 健太, 矢野, 智彦, 香月, 万葉, 佐野, 由佳理, 平野, 敬之, 安波, 道郎, 福岡, 麻美
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会 25.01.2024
日本臨床衛生検査技師会
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Summary:Vibrio mimicusは食中毒の原因菌で,海水,海泥,魚介類に分布する。海産物の摂取後に胃腸炎・下痢を引き起こすことが知られているが通常は軽症である。今回,血液培養からV. mimicusが分離された症例を経験した。我々が調べた限り,V. mimicus菌血症の報告は5例目となる極めて稀な症例であった。84歳男性。午前中より腹部膨満感があり,かかりつけ医を受診された。その際の発熱は認めなかった。当日夜間に発熱,嘔吐,意識朦朧となっていることに家族が気づき当館に搬送された。CTで腸炎を疑われ血液培養2セット採取後,Ceftriaxone(CTRX)が投与された。翌日,血液培養陽性となりV. mimicusが検出された。CTRX投与後,発熱・腹痛は軽減,食事摂取なども良好であり,10日間の治療後,第13病日に退院された。Vibrio属菌はグラム染色で湾曲したグラム陰性桿菌様形態として観察される。血液や便などの臨床検体から本形態が観察された場合は,早期感染症診断や抗菌薬適正使用支援の観点からも臨床へVibrio属菌を疑う旨を報告することが望ましい。
ISSN:0915-8669
2188-5346
DOI:10.14932/jamt.23-59